VP of Designが考える、エブリーのデザインチームの組織づくり

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事業横断で職種ごとの成長支援や評価の最適化、採用強化などの役割を担うエブリーのVice President (VP)。この記事はVP of Designを務める齋藤が、デザインチームの組織デザインについてまとめました。

「コンウェイの法則」が示すように、組織のあり方はプロダクトと密接な関係を持っています。組織が持つ7つの経営資源を表すマッキンゼーの「7Sフレームワーク」や組織づくりの「成功循環モデル」から、より良い組織のあり方について考えました。


齋藤 昌久

Vice President of Design

DELISH KITCHENカンパニー サービスグロース部 デザイングループ マネージャー

東京工業大学大学院修了後、新卒で浜松ホトニクスにソフトウェアエンジニアとして入社した後、メディア事業を主とする会社を起業しデザイナーに転身。フリーランスを経て株式会社スマートエデュケーションにて未就学児向けの知育コンテンツ制作に従事。その後2020年2月エブリーに入社。『MAMADAYS』のデザイングループマネージャーを務めたのち、現在は『DELISH KITCHEN』のデザイングループマネージャー、VP of Designとしてエブリーのデザイン組織全体を牽引。




コンウェイの法則から良いデザインを生み出すための組織づくりを考える

コンウェイの法則は、“システムを設計する組織は、その構造をそっくりまねた構造の設計を生み出してしまう”という法則で、これはほとんどの技術領域において当てはまるとされています。

つまり、これから創るプロダクトのUXやUIなどのデザインは既に組織の形によってその大枠が決まってしまっていることになります。

そのため、ユーザーに価値を提供するプロダクトを創りたいのであれば、まず組織をデザインすることが大切になってきます。

マッキンゼーの7SのソフトSからデザイン組織を構築していく

良いデザインを生み出すために、現在の組織を理解し課題を見つけて最適な組織を構築する必要があります。そこで活用できるのが、マッキンゼーが提唱する「7Sフレームワーク」です。

「7Sフレームワーク」は、組織は3つのハードな経営資源と4つのソフトな経営資源で成り立っていると捉えたもので、それら7つの資源をもとに組織をどのように構築していくか検討するために活用できます。この7Sを正確に組織の中で機能させることが組織デザインで目指すべきゴールとなります。

ハードの3S

ハードの3Sは、組織のハード面(組織の構造や仕組み)に関わる要素です。ハードSについて検討する点は以下になります。

  • Strategy(戦略):事業の方向性や、経営資源の配分を目的とした計画など、事業の根本的な部分を改めて見直します。 
  • Structure(組織構造):組織のしくみの特徴(機能的である、分権化している、など)を分析し、パフォーマンスを高くするための組織の構造はどうあるべきかを検討します。 
  • System(システムや制度):社内の情報システムや業務フロー、人事評価など、組織の仕組みや制度を分析します。

ソフトの4S

  • Shared Value(共通価値観):会社のPMV(Purpose、 Mission、 Values)。デザイン組織としては、デザインシンキングやユーザー中心設計などの共通価値観を浸透させていきます。
  • Style(社風や経営スタイル):組織の目標をどのように達成するかという特徴や組織の文化的特徴。デザイン組織としては、エブリーのデザインチームのスタンスを定義して運用しています。
  • Staff(人材):会社の人材の配置や採用について検討します。デザイナーを適切に配置・採用するためのことを実施し、満足して働ける環境を整備していきます。
  • Skills(能力):従業員の能力だけでなくサービスが有する力も含めて、会社の持っているアセットの強みや、更に伸ばせる部分はあるのか検討します。デザイン組織としては、ナレッジの共有やスキルトランスファーなどを行います。

ソフトSからアプローチする

既に事業があり、それに最適化された組織に対して、ハードの3Sから変えてデザイン組織を構築していくことは難しいとされています。そのため、ソフトの4Sから徐々にアプローチしデザイン組織を構築していくのが良いと思っています。

  • Shared Value(共通価値観):会社のPMV、ユーザー中心設計の浸透
  • Style(社風や経営スタイル):エブリーのデザインチームのスタンスを定義して運用
  • Staff(人材):デザイナーを適切に配置・採用するためのことを実施
  • Skills(能力):ナレッジの共有やスキルトランスファー

エブリーではすでにPMV(=「Shared Value:共通価値観」)の策定に社員が関わっていたり、デザインチームではデザイナーとしてのスタンス(=「Style:社風や経営スタイル」)を定義していたりします。今後は各メンバーが日々の業務の中でそれらをより意識していくことが、より良い組織の構築に繋がると考えています。

そしてそういった「Shared Value:共通価値観」や「Style:社風や経営スタイル」を組織へ浸透させるには、「Staff:人材」・「Skills:能力」が重要です。適切なデザイナーの配置やデザイナー間のナレッジ共有、スキルトランスファーによって人材の成長と変化を促すことが、今のエブリーのデザイン組織構築に大切な点であると思います。

デザイナーの成長と変化のイメージ
/Staff(人材)・Skills(能力)の強化

デザイナーの成長プロセスではこのようなことを身につけていくと思います。(エブリーのUIデザイナーとUXデザイナーのより詳細なキャリアイメージはこちらで定義されています。)

デザイナーの成長は、デザインパターン学習とアンチパターン学習の2種類で促すことができます。先に述べたデザイナー間でのナレッジの共有やスキルトランスファーを行うことで、デザインパターン学習をすることができ、デザイナーが成長できるように適切な配置をすることで、アンチパターン学習をすることができます。様々な案件やプロジェクトに関わることによって多くのアンチパターン学習ができ成長に繋がると思うので、そのような環境を整備していきたいと思っています。

組織づくりの成功循環モデル

ここまでは、マッキンゼーの「7Sフレームワーク」の中でもソフト4Sにおける組織構築を考えてきました。特にStaff(人材)、Skils(能力)の強化という観点でのお話でしたが、良い人材が集まったとしても、下図の組織づくりの成功循環モデルが正しく循環しないと、良い成果を創り出すことはできません。

組織づくりの成功循環モデルとは、上記の図のように①メンバー同士が認め合うことで②共創が生まれてチームとしての思考の質が上がり、それによって③メンバーの自発的な行動が促され行動の質が上がり④良い結果が出るという一連の循環を表したものです。

良い成果を創るためには上記の成功循環モデルのようにまずはメンバー間の関係性の質を良くしなければなりません。デザインチーム内だけでなくプロジェクトチームや関係部署との関係性の質を良くすることで、良い成果を創ることができるので、エブリーのデザインチームのスタンスにあるように、メンバー同士で尊重・尊敬し合いお互いが認め合う良好な関係性を作っていくことが大切になります。

最後に

色々と述べましたが、まとめると、良いデザインを生み出すためにはまずデザイン組織づくりが必要だと思っています。特にチームで良い成果を創り出すためには、メンバー同士お互いに認め合う良好な関係性を作っていくことが大切です。そして、その中でよりデザイナーが活躍するためには、デザイナーを適切に配置したり、デザイナー間でナレッジの共有やスキルトランスファーを行ったりすることが重要だと考えています。

こういった組織づくりに向けた取り組みの第一歩として、『DELISH KITCHEN』『MAMADAYS』の事業部横断で行うUIデザインの壁打ち会を開催し始めました。普段の業務の中でのUIの相談ごとに対して事業部横断でアイデアを考える時間を取ることで、参加者全員のアイデアの引き出しが増え、事業部を超えてスキルトランスファーやナレッジ共有をすることに繋がると考えています。

最後に、現在エブリーではデザイナーの採用募集中です!この記事の組織づくりの考え方に対して共感いただけた方、もしくは興味を持っていただけた方はぜひお話を聞きにいらしてください!

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