SNSタイアップ85%で売上向上を実証。ビジネス職がAIで踏み込んだ、購買インパクトのリアル

アイキャッチ
目次

『デリッシュキッチン』のSNSショートタイアップ広告のうち、85%で売上の向上が確認された――。2026年4月にエブリーが発表したこのリリースの裏側には、ビジネス職メンバーがAI開発支援ツールを使いこなし、首都圏大手小売チェーンのID-POSデータ(※1)を大規模に分析するといった取り組みがありました。今回はその立役者である、デリッシュキッチンカンパニー 事業開発部門 マネージャーの関根さんと、営業部門 マネージャーの西岡さんに、広告配信後の売上貢献を数字で証明した1ヶ月の道のりと、今まさに営業組織全体で進むAI×データ活用の実態を伺いました。「データを使ったソリューション営業がしたい」「AIを仕事に活かしたい」——そんなビジネス職のみなさんに、その最前線を覗いていただける記事になっています。
(※1)ID-POSデータ:小売店が保有する、会員カードに紐づいた購買データ。「誰が・いつ・何を買ったか」が分かる。

■ Interviewee

デリッシュキッチンカンパニー 
マーケティングソリューションズ第一事業部 
事業戦略グループ マネージャー 
関根 久理守

2013年に新卒でITベンチャー企業に入社後、複数の新規事業の立ち上げを経験。2021年6月にエブリーに入社。事業戦略グループのマネージャーとして、広告ソリューション全体のPL責任を担う。

デリッシュキッチンカンパニー 
マーケティングソリューションズ第一事業部 
クライアントセールスグループ マネージャー 
西岡萌子  

2017年に新卒で銀行に入稿し、主に法人・個人のリテール営業や融資業務を担当。2020年5月にエブリーに入社。『デリッシュキッチン』の広告営業を担当し、現在はクライアントセールスグループのマネージャーを務める。

『デリッシュキッチン』SNSタイアップ、85%で売上向上を実証

─ 2026年4月に「SNSタイアップ広告の85%で売上向上を実証」というプレスリリースが発表されました。改めて概要を教えてください。

(関根)『デリッシュキッチン』のSNSタイアップ広告が、実際に店頭の売上を動かしているかどうか—— これまで数字で示せずにいた問いに、今回ついに明確な答えを出すことができました。

具体的には、首都圏大手小売チェーンのID-POSデータを活用し、配荷が確認できた20キャンペーンを対象に配信前後14日間の店頭売上を比較しました。20件中17件で売上が増加しており、リフト率は平均115%という結果でした。

─ この結果を聞いて、営業部門の皆さんはどう受け止めましたか?

(西岡)これまでクライアントから「コンテンツの再生回数は多いが、売上にどのくらい貢献しているのか」という問いをいただくたびに、自信を持って答えられない場面が続いていました。この数字は、その問いへの明確な答えです。「85%のSNSタイアップ広告で売上が増加した」という事実は、クライアントとの商談において、提案の説得力を根本から変えるものだと感じています。

─ 「売上が増えた」というだけだと、特売や売り場環境の影響もありそうですが、そこはどう切り分けたのでしょうか?

(関根)売上の変動を「単価変動」と「数量変動」に分解して、値引きの影響を切り離しました。

結果、売上リフトが確認された17件のうち15件(全体の75%)は配信前後で加重平均単価(※2)が横ばいまたは上昇しており、特売・値引きの影響ではない、純粋な売上増加だと判断できました。さらに14件(全体の70%)は、対象ブランドが属する最小単位のカテゴリ平均の伸長率を上回っており、カテゴリ全体ではなくそのブランドが「指名買い」されている傾向まで見えてきました。
(※2)加重平均単価:販売数量などの"量"を加味して算出した平均単価。単純平均ではなく、取引量の多い価格ほど反映されやすい算出方法。

─ ターゲットとしている層の売上にはつながっていたのでしょうか?

(関根)20〜50代女性の平均売上リフトは124%、なかでも20代女性は142%(20代男性は128%)と、『デリッシュキッチン』のSNS利用者層と重なる若年層で顕著なリフトが確認されました。私たちが届けたい人にしっかり届いて、実際に購買につながっている――これが定量的に見えたのは、本当に大きな前進でした。

─ もう一つ、「再生数とPOSの相関」も分析されたと伺いました。

(関根)当初は「いいね」や「コメント」のエンゲージメント率が直接、売上と相関するだろうと仮説を立てていました。ところが仮説どおりの結果にはなりませんでした。代わりに全プラットフォーム合算の再生数と売上リフトには有意な正の相関(r=0.504, p=0.002)があることが分かりました。

ただし、これは「再生数さえ稼げば売れる」という話ではありません。価格変動の影響を取り除いた案件で段階的に絞り込むと、対象案件全体の平均売上リフトは120.5%、全PF合算200万再生を超えた案件は135.4%、さらに保存率2%以上を満たすと145.0%まで上がりました。一方で、保存率2%以上でもリーチの少ない案件は103.0%にとどまります。

つまりリーチは必要条件、コンテンツの質は十分条件。両方が揃ったとき、店頭の購買がもっとも強く動く――というのが私たちの結論です。テレビCM素材をそのまま転用するような「リーチを買う」発想ではなく、「質のあるコンテンツでリーチを生み出す」発想への転換が、SNSタイアップの効果を最大化する鍵だと考えています。

この分析ができたのは、『デリッシュキッチン』が「データを持っている」から

─ そもそも、この分析に取り組もうと思ったきっかけはなんだったんですか?

(関根)背景には、長年にわたって答えを出せずにいたクライアントからの問いがありました。『デリッシュキッチン』は、レシピサービス SNSフォロワー数 国内No.1(※3)を誇り、1本で100万再生を超えるタイアップコンテンツも安定して生み出せる一方で、「広告KPI(再生数・リーチ・エンゲージメント率)の達成は分かった。では、売上にはどのくらい貢献しているのか」という問いには、自信を持って数字で答えられていませんでした。

データ自体は存在していたのですが、項目によっては億を超える規模のデータを横断的に分析し、価値あるアウトプットを出すには、事業への深い知見・統計の知識・大規模データを扱える技術スキルのすべてが必要で、なかなか着手できずにいたのが実情です。

(※3)国内レシピサービス(レシピを検索・保存できるアプリやウェブサービス)のうち、SNSのフォロワー数の合計が300万人以上の5社のSNS公式アカウント合計フォロワー数(2023/9/1〜2026/4/30)を比較(株式会社エブリー調べ)
(※3)「SNS」=Instagram、Facebook、YouTube、X、TikTok、LINE News、Pinterest。

─ そもそも、今回のような分析ができた背景には何があるのでしょうか?

(関根)『デリッシュキッチン』が、SNSのコンテンツ実績(再生数・保存率・エンゲージメントなど)と、ID-POSに代表される購買データの両方を自社のアセットとして保有していることが、大きな前提になっています。この二つを掛け合わせることで、「このコンテンツに接触した生活者が、翌週どの商品を買ったか」というジャーニーを追うことができる。「データを持っているメディア」だからこそ実現できる分析であり、これが私たちの強みだと思っています。

(西岡)営業の立場でも、このデータ基盤の価値を日々実感しています。クライアントの課題をヒアリングしながら、自社のデータをもとに「この商品をこの層に届けるにはどのようなアプローチが有効か」という本質的な問いに答えるソリューションを提案できる。自分たちのデータが、提案の根拠そのものになる。そしてその体験こそが、多くの営業メンバーにとってこの仕事の大きなやりがいになっています。

 転換点――生成AIで、ビジネス職が大規模データに踏み込めた1ヶ月

─ そこから、どのようにして今回の分析にたどり着いたのですか?

(関根)生成AIの進化が、転換点になりました。最初は分析ダッシュボードの開発や業務フローの自動化から始め、手応えがつかめてきたところで、大規模データの横断分析や高度な統計処理にも挑戦しました。

これまでであれば、SQLの相談、統計手法の相談、可視化の相談と、複数の専門領域にそれぞれ依頼しなければ前に進まなかった工程が、一気通貫で進められるようになりました。「事業課題を一番分かっているビジネス職が、そのまま分析の最終アウトプットまで持っていける」という体験は、業務のあり方そのものを変えるインパクトがありました。

─ 今回のSNSタイアップの分析以外にも、動き始めたものがあると伺いました。

(関根)はい。約1ヶ月で複数のテーマを並行して進められました。いずれも『デリッシュキッチン』の事業価値を一段引き上げる手応えのあるものです。

たとえば、過去1年間のInstagram投稿実績を分析し、バズコンテンツに共通する傾向を定量的に明らかにするアルゴリズム解析や、SNSとデリッシュキッチンアプリのデータを生活者単位で連携させることで、広告接触から購買・調理・リピートまでの行動ジャーニーを時系列で追える基盤の構築なども、並行して進めました。

営業組織でも加速する、AI×データ活用の日常

─ 営業組織においてのAIやデータ活用は、どう変化していると感じていますか?

(西岡)関根が進めてきたような分析プロジェクトは特別な話に見えるかもしれませんが、営業組織全体でも、AIやデータを使う動きは急速に進んでいます。たとえば、クライアントへの提案資料の作成や企画プランニングの場面では、AIを活用して初稿をドラフトするのが当たり前になってきました。以前は一本の提案書を仕上げるのに丸一日かけていたものが、今は数時間で高精度の提案が出せるようになっています。

また組織全体としては、食トレンド分析ツール「デリッシュリサーチ」のMCPを全社展開したことが、直近の大きな動きです。「デリッシュリサーチ」には検索トレンド・組み合わせランキング・レビュー・お気に入りレシピなど、商談に使えるデータが一通り揃っています。一方で、分析に一定のスキルが必要だったり、カテゴリ横断での分析が難しかったりと、いくつかの壁がありました。

そこで今回、「デリッシュリサーチ」のMCPを全社展開し、自然言語で問いかけるだけで誰でも即座にデータを分析できる環境になりました。「〇〇のレシピの検索トレンドを教えて」「△△カテゴリで人気の食材は?」など、営業メンバーが商談の前日に自分でデータを引いて、それを提案に盛り込むといった動きが日常的に起きています。データを「問われたら出す」ものから、「先回りして武器にする」ものへ——そういう営業スタイルの変化が、部全体で起きていると感じます。

 『デリッシュキッチン』でしかできない、ソリューション営業とは

─ ビジネス職としてエブリーで働くことの、特徴的な魅力はどこにあると思いますか?

(西岡)一言でいうと、「データを持ったメディアで、ソリューション営業ができる」ということだと思います。

私たちの仕事は、「自社が保有するデータを用いて、どうクライアントの課題を解決するか」を考えることです。一つひとつの案件が、コンサルティングに近い性質を持っています。

クライアントも大手食品・飲料メーカーが中心で、単発の広告出稿ではなく、年単位での戦略パートナーシップを組んでいただくケースが増えています。自分が設計した提案が、実際にクライアントのビジネスを動かしていく手応えを感じられると思います。

─ AIやデータに詳しくなくても、挑戦できる環境ですか?

(西岡)もちろんです。私自身も、プログラミングや統計の専門家ではありません。ただ、クライアントの課題に向き合う事業感覚と、「数字で答えを出したい」という姿勢さえあれば、AIやデータが強力な武器になる環境が整っています。

「デリッシュリサーチ」のように、自然言語でデータを引けるようになったことで「クライアントの課題をどう解決するか」を考えることに集中できるようになりました。技術的なハードルが下がった分、事業課題への解像度とクライアントへの提案力が、より一層重要な差別化になっています。

(関根)私自身も、統計やプログラミングが本職ではありませんでした。事業課題への解像度があれば、AIを駆使して最先端の分析まで持っていけることを実感しています。これまで「やりたいけれど着手できない」と諦めていた領域に手が届くようになり、アイデアが机上で止まらず、その日のうちに形になって動き出していく感覚があります。

 ビジネス職でキャリアを考えているみなさんへ

(西岡)エブリーには、『デリッシュキッチン』『retail HUB』『トモニテ』『MOMENTH』といった、毎日数千万人の生活に触れているプロダクトと、そこから生まれる豊富な自社データがあります。このデータをどう価値に変えるかは、エンジニアだけの仕事ではなく、ビジネス職にとっても大きなチャレンジ領域です。

「プロダクト営業ではなく、本当にクライアントの課題を解くソリューション営業がしたい」「AIやデータを武器にして、提案の質を上げたい」「大手クライアントと年単位で向き合う、深い仕事がしたい」——そんな志向を持つ方に、エブリーはフィットする環境だと思っています。

これまで培ってきた事業感覚に、AIとデータを掛け合わせて、クライアントの事業をドライブしていきたい方とぜひ一緒に働きたいです。「次のキャリアで、何か面白いことができそうだ」と少しでも感じていただけましたら、ぜひ一度お話しましょう。

引き続きエブリーは、「前向きなきっかけを、ひとりひとりの日常に届ける」というミッションに向けて、データとAIを味方につけながら、生活者にもクライアントにも価値を届けるプロダクトを磨いていきます。「ビジネス職×AI」で事業を動かしてみたい方は、ぜひエブリーでお待ちしています!


求人一覧_アカウントエグゼクティブ 求人一覧_マーケティング 求人一覧_エブリー

関連記事