2019年1月に新商品「VINEGAR Style」シリーズを発売したミツカンと、“かけるオイル”を提案する日清オイリオは、新しい食習慣の提案を行おうと、レシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」でコラボレーションした。認知から購買に至るまで、フルファネルで展開したプロモーションの全貌とは。
左)ミツカンMD本部 デジタルマーケティング部 コミュニケーション課 工藤 彩香 氏
中)エブリー 執行役員「DELISH KITCHEN」 カンパニー長/編集長 菅原 千遥 氏
右)日清オイリオグループ 食品事業本部 商品戦略部 ホームユース課 兼コーポレートコミュニケーション部 宣伝・広告課 主管ー 清原 知子 氏
お酢とオイルを卓上でかける新しい食習慣をコラボで提案
工藤:健康志向の高まりや、使用用途の拡大によって、食酢市場は近年順調な伸びを見せています。さらなる市場拡大を目指すために、調理に用いるだけではなく食卓でお酢を“かけて”食べることを提案したいと考えました。そこで今年、新しく発売したのが“かけるビネガー”「VINEGAR Style」シリーズです。
清原:日清オイリオも数年前から、食卓で“オイルをかける”提案に注力しています。中でも「鮮度のオイル」シリーズは、テーブルユースに最適な商品として展開しています。
工藤:「VINEGAR Style」は食卓でお酢だけをかけるのではなく、オイルと合わせて使用していただく新しいスタイル提案の商品のため、かけるオイルシリーズを発売している日清オイリオさんとのコラボレーションが実現したのです。
清原:サラダやパンなど料理にそのままオイルをかける生食使いの市場は、家庭用オイル市場全体の25%にまで拡大しています。一方で、生食使いとして「購入してみたい」と考えている層も30%以上いる状況です。ミツカンさんとコラボすることで、これまでアプローチできていなかった層にも提案が届くのではとの期待がありました。
工藤:調理経験は少なくても、料理に関心のある若年層をメインターゲットに、新しい「かける」スタイルを動画でわかりやすく伝達したいと考え、2社のコラボをぜひ実現したいと思いました。
スタイル提案は動画がわかりやすいものの、サラダを動画映えさせることが課題の中で、見た目はインパクトがありつつ調理は簡単という「DELISH KITCHEN」の特徴が印象に残っていました。またユーザーさんが他のレシピ動画メディアと比べて、3食の食事と健康への関心度が高いという調査データを拝見し、今回の企画に合うと感じてご依頼に至りました。
オンラインからオフラインまであらゆる接点で連携した施策を行う
見た目のインパクトと作りやすさにこだわり、“かける”シーンを動画で訴求。
アプリ・SNSだけでなく、車内サイネージや店頭サイネージでも一貫して展開した。
菅原:戦略的に2社の商品をコラボさせるプロモーション展開は、「DELISH KITCHEN」としても、初の試みでした。まず、お酢やオイルを“かける”習慣をいかに浸透させていくかという課題を検討。その後、認知から購買までターゲット層が経由しそうな複数の接点を洗い出し、施策を組み合わせてご提案しました。組み合わせた施策は4つ。
①アプリ・SNSアカウントからの配信
②雑誌「オレンジページ」とのコラボレシピ掲載
③東急電鉄の車内サイネージ(TOQビジョン)でのレシピ動画配信
④東急ストア(一部店舗除く)売場サイネージでの動画配信。
これらを組み合わせることで、オンライン・オフラインの認知~移動中~店頭をつなぐフルファネルのO2O施策を実現。メディアやシーンを超えて共通のレシピ動画を配信し、一貫性を持ったプロモーションとなることを目指しました。
今回、制作した動画は2本で「丸ごと玉ねぎのグリルサラダ」は、簡単につくれるレシピで、調理に不慣れな若年層からの反響を狙いました。もう1本は、「オレンジページ」編集部が企画した「春野菜と蒸し鶏のサラダ」のレシピを動画化しています。どちらも動画ならではのクリエイティブで、食卓でお酢やオイルを“かける”シーンを伝えることを意識しました。
工藤:ご提案いただいたレシピは、見た目から惹き付けるようなインパクトがあり驚きました。
清原:旬の食材を用いながら、自宅にある調理器具で簡単にできる、サラダではあるけれどメインにもなるメニュー。素材には、生野菜も加熱したものも出してくださり、どちらに“かけて”も美味しく仕上がるのだということが自然と伝わると思いました。
菅原:暮らしの中で「DELISH KITCHEN」の動画が、認知から購買促進など様々な役割で登場することによって、商品そのものだけでなく、お酢やオイルを“かける”という行為を印象づけられたのではと思います。
メーカーやメディアの垣根を超えて新たな食シーンを醸成したい
清原:商談段階ですが、流通さまからの反響もとても高く、店頭でのアイテム化や販促導にも良い効果をもたらしています。こうしたコラボによって、互いのお客さまの送客効果も魅力だと感じました。
工藤:すでにオイルを卓上でかける習慣がある方には、お酢をプラスしてもおいしそう、と思ってもらえる。2つの商品を掛け合わせることで、一方の商品試用のハードルを下げられることもメリットだと感じました。
菅原:他のメーカーさんからも「新しい食シーンを提案したい」という相談を受けることが多いのですが、ひとつの施策だけではなく複数の施策と組み合わせながらアプローチするクロスカテゴリプロモーションは新たな食シーンを浸透させやすい。また、動画は店頭のサイネージにも活用できるので、認知の獲得だけでなく、売上や棚取りなど流通の部分でも協力できると思います。
「DELISHKITCHEN」がプラットフォームとなり、様々なカテゴリーの食シーン、食市場をつくり出すことに貢献していきたいです。
※ 「VINEGAR Style」は(株)Mizkan Holdingsの商標です。
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