こんにちは。エブリーでVP of Productを担当している堀田です。
今回はエブリーの主力サービスである「デリッシュキッチン」について、向き合う顧客課題と関連するプロダクト、AIのプロダクト実装について話せたらと思います。PdM、エンジニア、デザイナーといったプロダクトに関わる方をはじめ、より多くの方にエブリーの向き合う事業、プロダクトの取り組みを知ってもらい、興味を持ってもらうきっかけに少しでもなったら嬉しいです。
“今日、何作ろう”という誰もが直面する生活課題に挑む
人生100年時代、私たちは1日3食、一生のうちにおよそ10万回の「食事」を経験します。その一回一回は、エネルギーや栄養の源であるだけでなく、家族や友人とのコミュニケーション、そして日々の健康や幸せをつくる土台です。
デリッシュキッチンでは、『おいしい楽しい「食事」と「健康」をすべての人に』届けることをミッションに、レシピ動画メディアとして2015年に誕生しました。そして10年経った今、SNSファン数は1,200万人を超えてレシピサービス国内No.1(※1)、アプリとウェブを合わせたMAU(マンスリーアクティブユーザー)も3,200万人以上で国内NO.1(※2)(参考: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000439.000018729.html)と、日本最大級の「食のプラットフォーム」へと成長しています。
(※1)「SNS」=Instagram、Facebook、YouTube、X、TikTok、LINE News、Pinterest。自社調べ(2023/9/1〜2025/10/31)
(※2)Sensor Tower・Similarweb(2025/10時点)。レシピサービスの国内主要アプリ及びウェブサイトでの月間利用者数を比較。アプリ、ウェブそれぞれの利用者数合計値がNo.1であることを意味する。
「今日、何を作ろう?」この問いに毎日直面する人は、日本中で何千万人もいます。そんな身近で生活に必要不可欠な「食」の課題をテクノロジーで解決してきたのが、デリッシュキッチンです。
オンラインからオフラインへ。広がる顧客課題とプロダクト
デリッシュキッチンの提供価値は、サービスリリース当初から大きく広がっていっています。
最初は日々の「レシピ・献立決め」のサポートから始まりましたが、何作ろうかをよく行くスーパーの店頭で悩まれる方が多かったり、普段の買い物自体も大変な方もいる中で、「買い物」をより便利に効率的に、お得にできるようなサポート、作るものが決まってもどう作れば良いか、初心者でも失敗せず作れるように「調理」のサポート、健康を気にする方が増えている中で日々の「食事記録」と健康的な食生活に向けたアドバイスなど、ユーザーの食に関わる一連の課題に対して答えられるようにプロダクトも進化してきました。

またtoC向けだけでなく、toB向けにもプロダクトは広がっており、①食関連企業を支援する広告・マーケティング事業に関連するプロダクト、②食品スーパー向けのDX支援、集客/販促支援などを行う「retail HUB(リテールハブ)」に関連するプロダクト、の大きく2領域があります。
①メーカー向けマーケティング支援事業については、デリッシュキッチンが持つ大規模な調理行動データと高品質なコンテンツ制作力を生かし、認知から購買まで一貫して支援するフルファネル型の広告ソリューションを提供しています。オフライン購買データとの連携によって、広告効果を実購買ベースで証明できることも大きな強みです。(参考: https://everything.every.tv/20240122)
また、上記データを活かして消費者の食トレンドや興味関心を分析し、消費者分析や調査などの工数削減や、お客様のニーズを踏まえた商品開発/販促を実現でき、施策の確度も高めることを支援する「デリッシュリサーチ」といったSaaS型のプロダクトも展開しています。(参考: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000415.000018729.html)
②小売向けDX支援、集客/販促支援を手がける「retail HUB(リテールハブ)」については、サイネージによる店頭販促のデジタル化を支援する「ストアDX」、店舗オペレーションや配達管理の支援も行う「ネットスーパー」、そしてお客様との関係構築(CRM)をサポートする「小売アプリ」の3領域でプロダクトを展開しています。(参考: https://everything.every.tv/20240123)
これらにより、オンラインとオフラインを横断した食の体験を最適化し、ユーザーと企業双方の課題解決を進めています。

プロダクト領域としてもtoC、toBの双方があることで、プロダクトマネージャーとしては複数のビジネス領域、異なるプロダクトフェーズを経験できる機会になっています。またプロダクトチームは、PdM/エンジニア/デザイナーが各領域ごとに向き合い、それぞれのプロダクトチームで仮説検証を進めるような体制であることで、プロダクトの施策やAI活用などお互いに学び合いながら取り組める機会になっています。
コアにあるのは「信頼できるコンテンツ」と「10年の積み重ね」
デリッシュキッチンの強みは、10年間で蓄積した大規模なユーザー基盤による”食のデータ”と”信頼性あるレシピコンテンツ”です。
デリッシュキッチンが築いてきたレシピデータは、すべて管理栄養士が監修しており、その本数は56,000本以上。管理栄養士監修のレシピ動画数としては国内No.1(※)です。
(※)株式会社エブリー調べ(アプリ上の公開本数、2021/10/1〜2025/10/31)
動画により初心者でもわかりやすく、初めて作る料理でも失敗しにくい。家庭にある食材を使って簡単においしくできる、衛生面など含めて安心・安全。またユーザーの声やレシピ評価など定性/定量データを元に改善をし続けています。
これらは一朝一夕でできるものではなく、ユーザーはもちろんメーカー・小売の方にとっても信頼して利用ができる基盤になっています。
この10年分の信頼と実績、自社でコンテンツから作っていることによりレシピを構成する食材、分量、栄養素、評価などデータとしても網羅的に整えられていることで、AIによる新たな価値創出の際に利活用しやすい基盤になっています。
AIエージェント化を全てのプロダクトで
そして現在力を入れているのは「AIエージェント」です。ユーザー(toC)向けだけでなく、toBも含めて全てのプロダクトラインで取り組みを進めています。
ユーザー(toC)向けには、「レシピ動画アプリ」から「AI料理アシスタント」への進化 (参考: https://everything.every.tv/20241111)。10年間で蓄積した”食のデータ”と”信頼性あるレシピコンテンツ”を活用しながら、ユーザー一人ひとりにあたな専用の管理栄養士が寄り添う新たな食体験をつくり出そうとしています。「冷蔵庫に豚肉とキャベツしかない」「最近、脂質を摂りすぎている」「子供が野菜嫌いで困っている」など、ユーザーの曖昧な悩みや状況を理解し、3,200万人の行動データと管理栄養士監修の信頼できるレシピデータから、最適な「解」を提案します。単に答えるだけでなく、課題に寄り添い、レシピを提案するだけに留まらず、最適な買い物のサポート、調理中のサポートをする。
また、ユーザー向けだけでなくtoB向けのソリューション領域に関してもAIエージェント化を進めていきます。メーカーのマーケティング担当者に代わり、過去の膨大なマーケティングデータから「最もブランド認知のために効果的なレシピ訴求」や「企画資料のストーリー構築」などを提案するエージェント。スーパーの店長に代わり、その日の天気・気温・店舗の在庫状況、購買状況などから「どの商品を特売にすべきか」「発注量はどれくらいが最適か」など小売業に関わる意思決定をサポートするエージェント。

これらは一例ですが、「食に関わる全ての人の意思決定」をAIエージェントで拡張していく。これらを通して、食に関わるメーカー・小売の方とも一緒に、『おいしい楽しい「食事」と「健康」をすべての人に』より届けられるように。
食はすべての人に共通するテーマであり、生活の中心にあります。
だからこそ、取り組むプロダクトとしても社会に大きなインパクトを与える可能性を持っています。
まだまだ試行錯誤なところもありますが、AIとともに進化する食のプラットフォームをつくり、多くの人の健康や生活を豊かにするサービスを形にしていく——。
そんな挑戦を一緒に楽しめる方とぜひ次のスタンダードになるようなプロダクトを作っていけたらと思っています!