前編は、講演内容からDELISH KITCHENが提供したいユーザー価値についてお伝えしてきました。 後編では、今DELISH KITCHENが取り組んでいる事業や、さらにこれからバージョンアップをさせて提供していきたい価値は何なのか、菅原に改めてインタビューした内容をお届けします。
菅原 千遥
執行役員 DELISH KITCHEN カンパニー長
2012年慶應義塾大学を卒業後、グリー株式会社に入社。 事業責任者として女性向けネイティブゲームに従事し、その経験を活かし戦略部門にて子会社や投資先会社の事業管理基盤構築を推進。その後、新規事業の立ち上げを主導。 2015年9月、株式会社エブリーを共同創業。2018年に執行役員に就任。
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【前編】DELISH KITCHENの現在地、そして未来ーー「今日何作ろう?」を解決して、幸せな食卓に貢献する
「食」に関連するOMOな世界の実現に向けて
ー2019年を振り返ってみていかがでしょうか?
菅原:今年は、ユーザー・メーカーだけでなく「食」に関わる全てのシーンでサポートすべくオフライン領域との連携を強化してきた1年だったと思っています。
DELISH KITCHENはレシピ動画サービスではありますが、ご飯を作ろうと思ったら、レシピを考えて、お買い物に行って材料を買い、調理して食べてもらう、という一連の流れがあります。その中で大きく関わってくるのがメーカーと流通・小売です。
私たちは最初、一般ユーザー向けに動画レシピを提供してきました。その後、メーカーとのタイアップコンテンツを制作する広告事業を開始し、新商品や定番商品の新しい食べ方の提案を行ってきました。最近では商品について知ってもらうだけでなくより手に取っていただきやすくするため、クーポンの発行なども行っています。
菅原:では、どこでその商品を買うのかというと小売店ということになります。そこで、流通・小売との取り組みを強化し、わかりやすいところでいうと、店内にデジタルサイネージを置かせていただきき、そこにDELISH KITCHENのレシピ動画を配信するということをしています。さらに現在ではデータ連携も準備していて、地域や家族構成などで違う料理内容をよりパーソナライズされたレシピ提案ということができるようにしていきたいと思っています。
サービスの安心感や信頼性を醸成すること
ーDELISH KITCHENは、料理に関わる全てのプレイヤーがユーザーとの接点を持つためのプラットフォームとして活用してもらえるよう施策を進めてきました。7月にはOMO事業部も設立し、オフラインとの連携が本格化しましたよね。菅原さんご自身はどういったところに注力されてきたのでしょうか?
菅原:私としては、メディア事業の部分で、ユーザーの皆さんにどういった情報を伝えていくのかというところを考えてきました。「食」に関わるメディアとして、安心して使えるサービスと認識してもらうことは重要です。サービスの品質向上を目指し、マニュアル策定と”顔が見えるレシピ”というところに注力してきました。
まず、マニュアルの策定についてですが、DELISH KITCHENは「誰でも簡単においしく作れる」をコンセプトに、料理初心者から毎日料理をする主婦の方まで幅広い方々に楽しんでいただけるレシピ考案を行っています。その中で特に大切にしているのは、「どこの家庭にもある調理器具を使うこと」、「どこの家庭でも手に入れやすい食材を使うこと」、「健康面を考慮した栄養バランス」「衛生面のチェック」です。こうしたポイントを具体的なコンテンツ制作時のチェックに落とし込むと項目数は271に及びます(2019年12月時点)。
ーそんなに…!
菅原:はい。4年間事業をやってきた中で、気がついた点を継ぎ足し継ぎ足ししてきたものになります。DELISH KITCHENが利用されるシーンが多様になってきたこともあり、このタイミングで改めて見直しを行いました。
ー具体的にはどのようなルールなのでしょうか?
菅原:レシピの企画から調理工程、撮影手順までさまざまです。例えば、レシピ内の塩分含有量のチェックや、調理においては、食材の下処理の仕方から食材ごとに切り方が正しいかなどです。また、火加減など危険性や衛生面が守られているかなど、ユーザーのみなさまが混乱しないように細部にまでこだわって設定しています。こうした内容の精査とチェックフローを作り直し、それを全スタッフが認識するというところまで含めて行ってきました。
ーコンテンツの質を改善することで、よりユーザーの皆さんに安心して使ってもらえるサービスを目指すということですね。
菅原:そうです。自信を持って提供できるレシピを、これからも変わらず提供し続けていきたいと思っています。
そしてもう一つ、今まで取り組めていなかった部分であり、レシピ動画では初となる、”顔が見えるレシピ”というところに取り組んできました。作り手の顔や経歴が見えることでサービスに温かみが増し、より安心して使ってもらえるサービスになっていきたいというところが目的です。
DELISH KITCHENでは全てのレシピを「食」のプロである管理栄養士をはじめとする有資格者が企画・制作しています。サービスの安心感や信頼性を醸成していくために、こういった情報をサービスを通してユーザーのみなさまにも直接お伝えしていきたいと思い実施しました。
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DELISH KITCHEN オフサイトMTGを実施!
ーこの半期、体制強化にも積極的に取り組まれていた印象です。フードスタイリストのみなさんもそれぞれに役割を担っていらっしゃいますよね。
菅原:フードスタイリストのみなさんは、専門的な知識を持っているメンバーが多いので、その専門性や自分の強みを生かせるような体制の構築を目指しています。
今まではDELISH KITCHENらしい見やすい動画づくりとレシピ数を増やしていくことに注力してきましたが、今期はそれに加えて、ジャンルの拡充や品質の改善、衛生管理の強化、有料会員向けの献立レシピの開発などにも挑戦してもらっていました。
ー最近では、DELISH KITCHENオフサイトMTGも開催されていました。これはどういった目的があったのでしょうか。
菅原:メンバーみんなで「お客様を知ること」、「自分たちがお客様に何を提供していきたいかを考えること」、そしてそれを「共有すること」を目的として行いました。忙しく日々を過ごしていく中でも、DELISH KITCHENについてじっくりと考える時間を持ちたかったんです。
DELISH KITCHENのメディア企画グループは、コンテンツ制作をメインに、各SNSの運用や他プラットフォームとの連携などを行っています。ですので、フードスタイリスト、クリエーター、ディレクター、CX(CS)など色んな職種のメンバーが所属しています。一度メンバーみんなで丸一日オフィスを離れ、DELISH KITCHENユーザーについてさらに理解を深めるとともに、改めて個人としてチームとしてどうしていきたいのかを考えてもらいました。
ー 丸一日、朝から晩まで盛り沢山のプログラムですね。
菅原:私たちは普段お客さまに直接触れ合う機会がないので、どんなライフスタイルの中でどうサービスを使ってくれているのかを知る機会が多くありません。そこで今回は、一つ目のワークとして社内のマーケティンググループが実施しているユーザーインタビューのヒアリング内容を見ながら、ユーザーが感じている料理に対して感じている課題や、DELISH KITCHENに対して感じている価値・課題をそれぞれ洗い出し、発表してもらいました。二つ目のワークでは、逆に自分たちがユーザーや世間からどう思われたいか、そのために何を提供できるのかなどを話し合っていきました。
三つ目の最後のワークでは、自由に時間軸を設定して、そのときのDELISH KITCHENについて考えてもらいました。
❶自分たちで未来のDELISH KITCHENについて改めて考えること
❷3C(市場/顧客・競合・自社)を意識した考え方をすること
❸自由な時間軸の幅を設けることで、今気がついていない視点を発見すること
という3つのポイントを目的に実施しました。
ーオフサイトMTGを通して新たに発見はありましたか?
菅原:同じ情報をインプットしてもチームによって見ているポイントが違っていて、いろいろな需要の違いがあることを知るきっかけになれたのかなと思います。
印象的だったのが、作ってもらったキャッチコピーや議論の中に「生活」や「暮らし」というワードが多く出てきたことです。ただレシピとそれに関する機能を提供するだけではなく、それらを通じて、より豊かで彩りのある暮らしを与えられるようになりたい!という思いでメンバーのみんなが取り組んでくれていると改めて実感することができました。
また、三つ目のワークで実施した未来を考えるフェーズでは、○年後の設定が3年後〜50年後と幅広い設定がされていました。市場環境や主婦の課題において着目すべきポイントは人によってかなり多様で、少子高齢化問題、女性の社会進出、デジタル化(IoT)、外国人労働者/移民問題、海外進出、食料問題などなど多くの視点が挙がりました。これまで意識して取り組めているもの以外の課題も挙がってきたため、私自身、今後考える視野が広がりました。
ー最後に、DELISH KITCHENのこれからについて伺いたいのですが、2020年実現したいことはありますか?
菅原:やはり、一番はOMO事業を加速させていきたいと思っています。もっと多くの方にDELISH KITCHENが実現したいと思っている世界観について理解してもらい、参加いただく必要があります。昨年はイベントなども実施していましたが、来年は様々な事例を作り導入をさらに進めていきたいです。メディア事業としては、DELISH KITCHENを使ってくれているユーザーのみなさまにさらに喜んでいただけるよう、コンテンツの質をより一層高めていくことです。献立機能などはニーズも高く、使ってくれている方が多いのでそういったコンテンツは積極的に拡充していきたいですね。
また、DELISH KITCHENではレシピ動画撮影の際にも使っているキッチンツールをオリジナルで制作しています。普段の料理に使っていただけるボウルやフライパンから、製菓のツールまで幅広く展開を開始しました。今まで小売店などで販売してきましたが、EC展開もはじめていきます。キッチン環境やレベルは人それぞれ。でも、動画を見ながら同じツールを使っていただければ失敗せず美味しくできる、これはレシピ動画であるDELISH KITCHENが提供できる価値の一つだと思います。
すべての人に料理を楽しんでもらうために「誰でも簡単においしく作れる」レシピを提供し、一歩ずつ、でも着実に進化していければと思います!
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