『デリッシュキッチン』『トモニテ』をはじめ、子どもから大人まで、毎日の食卓やくらしを支えるエブリーのプロダクト群。その「日常との接点」を最前線で支えているのが、スマートフォンアプリです。2016年9月にエンジニア第一号としてエブリーに入社し、『デリッシュキッチン』のAndroidアプリ立ち上げから現場を歩んできた今井は、2021年に執行役員CTO 開発本部長に就任。AI時代に突入したいま、エブリーはなぜApp領域にここまで本気で投資し、どんな組織と働き方を志向しているのか。Appエンジニアの方に向けて、CTO今井が自らの言葉で語ります。
Interviewee
執行役員 CTO 開発本部長
今井 啓介
2015年筑波大学を卒業後、新卒でサイバーエージェントに入社。Androidエンジニア、Webエンジニアとして生配信サービスの立ち上げに携わる。2016年9月、株式会社エブリーにエンジニア第一号として入社し、DELISH KITCHENのAndroidアプリ、Webサイトの立ち上げに従事。2021年7月DELISH KITCHEN開発部の部長就任。同年10月、執行役員 CTO 開発本部長に就任。
App出身のCTOとして、エブリーの技術を率いる
─App領域でキャリアを積まれてきたご経験は、いまのエブリーでの意思決定や組織づくりに、どのように活きていらっしゃいますか。
App開発では、機能をつくるだけでは終われません。「人が実際にどう触るか」を徹底的に考える癖が、自然と身につく領域だと思っています。モバイルはOSやデバイスの特性まで含めてUXを設計する必要があり、iOSらしさ・Androidらしさを踏まえて考え抜く経験は、いまのプロダクト開発や組織づくりに強く活きています。
また、toC Appは継続率やリテンションを非常に重視する世界です。ユーザー属性やペルソナごとに継続率を肌で捉えながら改善を繰り返す感覚は、経営に近い意思決定をする上でも欠かせません。
加えて、レビューやSNSなどの「n=1の声」を大切にする文化もApp開発で培われました。定量データだけではなく、ユーザーの違和感や熱量にこだわる姿勢は、いまも意思決定に大きく影響しています。
─CTOご就任に至るまでの経緯と、ご自身がApp出身者としてCTOを務めることの意味について、どのようにお考えでしょうか。
エブリーはtoCプロダクトを複数展開していて、ユーザーとの接点としてAppが非常に重要な役割を担っています。モバイルを軸にプロダクトと組織を見てきた経験を活かし、よりユーザー体験に近い視点で技術組織をリードしてほしいという期待をいただき、CTOに就任しました。
私が特に大切にしているのは、「実装の先にある体験」です。単に機能を作るのではなく、ユーザーがどんな環境で、どんな気持ちで触るのかまで想像しながら意思決定する。AI時代になり、実装そのもののコストが下がっていく一方で、体験設計の重要性はむしろ増していると感じています。その意味でも、App出身者の価値はこれからさらに高まっていくと考えています。

なぜエブリーは今、App領域に「本気」なのか
─エブリーの事業において、Appはどんな役割を果たしていますか?
エブリーのApp群は、国内トップクラスの規模感で利用されています。たとえば『デリッシュキッチン』は、レシピサービス アプリ+ウェブ利用者数 国内No.1(※1)の「食生活プラットフォーム」へと成長しており、ユーザーにとって日常的な接点となっています。(参考: https://everything.every.tv/20251215)。さらに、iOSアプリユーザー評価は5点満点中4.7で、レシピサービス iOSアプリユーザー評価 国内No.1(※2)。子育てメディア『トモニテ』もiOSアプリユーザー評価が4.6(※3)と、いずれも高評価をいただいており、生活の中で繰り返し使われるプロダクトとして、いまも成長を続けています。
(※1)アプリの月間利用者数300万人以上かつウェブサイトでの国内における月間利用者数2,500万人以上の国内主要レシピサービス3社の月間利用者数(2025/10〜2026/4、スマホアプリ市場分析プラットフォーム「Sensor Tower」及びサイトトラフィックやユーザー行動の分析ツール「Similarweb」における数値)を比較(株式会社エブリー調べ)。
(※2)App Store 「フード&ドリンク」カテゴリーにおける累計ダウンロード数100万以上の国内主要レシピアプリ8社の平均評価値(各アプリのリリース日~ 2026/4/30、スマホアプリ市場分析プラットフォーム「Sensor Tower」における数値)を比較(株式会社エブリー調べ)
(※3)2026年5月時点
モバイルはいまや「生活OS」に近い存在だと考えています。Web以上に日常的に触れられる接点になっているからこそ、Appにおける体験設計や継続利用の設計は、事業成長そのものを左右します。そしてAI時代において、カメラ・音声・通知・位置情報といったマルチモーダルな体験を自然に提供できるのは、Appの大きな強みです。汎用的なAIだけではなく、ユーザーごとに最適化されたUXを届ける上で、Appはこれからますます重要な役割を担っていくと見ています。
─「App領域への本気度」が表れている、意思決定レベルの具体例を教えてください。
いくつかありますが、まずエンジニア組織全体の1〜2割をApp領域に配置し、継続的に投資を行っている点が挙げられます。リリース頻度も毎週〜隔週ペースで、高速な改善サイクルを回しています。
また最近では、BackendエンジニアであってもAppの実装をすることで、実際にユーザーが触れるところまで責任を持った開発をしながら、Appの理解をすることで、より良いApp・機能にしていく取り組みもしています。
技術面では、Android/iOSともに新規画面はJetpack Compose/SwiftUIを基本としていて、モダンなUI技術への移行を積極的に進めています。既存画面の移行も段階的に行っており、現状で約3割が移行済みです。Flutterも採用していて、プロダクト特性に応じて柔軟に技術選定を行っています。
AI活用についても、App組織を中心に踏み込んだ取り組みを進めています。Claude Codeを実運用しながら、AIが自律的に開発しやすいリポジトリ構造や開発フローの整備を進めている、というのが最大の特徴です。
─数千万ユーザー規模のtoC Appに向き合うやりがいは、どんなところにあると思いますか?
ユーザーとの距離が非常に近いことに尽きます。リリースした機能に対して、継続率やレビュー、SNS反応などがリアルタイムに返ってくるので、自分たちの意思決定が直接ユーザー体験につながっている実感があります。
毎日使われるプロダクトだからこそ、小さなUX改善の積み重ねが大きな差になります。単なる機能開発ではなく、「習慣」や「日常体験」を作っている感覚は、toC Appならではの面白さです。
AI時代において、実装そのもの以上に「どんな体験を届けるか」がより重要になっていく。その最前線に立てる手応えを、いまの現場では確かに感じています。

Appエンジニア組織の方針と、AI時代の越境的な働き方
─現在のApp開発体制と技術スタックを、具体的に教えてください。
AndroidはKotlin+Jetpack Compose、iOSはSwift+SwiftUIを中心に開発しています。新規画面は基本的にCompose/SwiftUIで実装し、既存画面も段階的に移行中で、現状で約3割が移行済みです。Flutterも採用していて、プロダクト特性に応じてネイティブとクロスプラットフォームを使い分けています。
Android/iOSともにModularizationを実施していて、長期運用を前提とした設計をしています。CI/CD、Feature Flag、Analytics、A/Bテストの環境も整備済みで、高速に改善を回せる状態を作っています。
─「AIを前提とした開発スタイル」を、エブリーのApp組織ではどう実践していますか?
Claude Codeを実際の開発現場で活用しています。単にコード生成ツールとして使うのではなく、「AIが自律的に開発しやすい状態」をどう作るかを重視していて、CLAUDE.md の整備をはじめ、プロダクトマネージャにもGitを活用してもらい、仕様書もGithubのリポジトリに格納するなど、プロダクト全体をAI-readableにしていく取り組みを進めています。
AIレビューも基本的に全領域で活用していて、プロジェクトによってはテスト自動化まで踏み込んで挑戦しています。結果として、Appに限らずPR数は2.5〜3.5倍程度まで向上しました。
─「越境」という言葉がたびたび出てきましたが、エブリーのApp組織が考える「越境」とは、具体的にどんな働き方を指しているのでしょうか。AI時代だからこそ越境が重要だと考える理由とあわせて、お聞かせください。
「越境」は、AI時代を生きるエンジニアにとっての必須条件だと考えています。
これまで「実装」というプロセスには大きなコストがかかっていました。Backendの実装、Appの実装、データ基盤の設計、LLMの組み込み——それぞれに専門知識と相応の工数が必要だったからです。しかしAIによって、その個々のタスクのコストは確実に下がりつつあります。だからこそ、これからは「何を作るか」「なぜ作るか」という上流の思考と、「ユーザー体験全体をどう設計するか」という横断的な視座が、相対的に重要になっていきます。
エブリーのApp組織における「越境」とは、自分の専門領域を軸足にしながら、必要があれば隣の領域に自ら踏み込んでいく姿勢のことです。たとえば、AppエンジニアがAPI実装からリリースまで一気通貫で担当する。BackendエンジニアがApp実装に踏み込み、ユーザーが実際に触れる画面まで責任を持つ。PdMもGitを使い、仕様書をGitHubのリポジトリで管理する。こうした越境の動きが、ユーザー体験を一段引き上げる原動力になっています。
特にAppエンジニアにとって、越境は大きなチャンスだと考えています。モバイルは「実装の先にある体験」を最も近くで設計してきた領域です。その視点を持ったまま、BackendやAI、データ基盤まで足を伸ばすことで、「App × AI」という新しいユーザー体験を、自らの手で作り出すことができる。
そして越境は、個人芸ではなく、組織として支えていく仕組みでもあります。AIが自律的に開発しやすいリポジトリ構造、Modularizationされたコードベース、課題発見・課題設定フェーズからエンジニアが関わる文化——これらすべてが、越境を可能にする土台になっています。
専門性を捨てるのではなく、軸足を持ったまま、もう一歩を踏み出す。それが、エブリーが目指す「AI時代のApp組織」の姿です。
─エブリーのAppエンジニア組織が大事にしている価値観を教えてください。
3つあります。1つ目は「ユーザー体験を最優先に考えること」。単なる機能実装ではなく、人が実際に触る瞬間や感情まで含めて考えることを大切にしています。
2つ目は「越境すること」。Appだけ、Backendだけではなく、AIやインフラも含めて、必要なら自ら踏み込んでプロダクト全体を良くしていく姿勢を重視しています。
3つ目は「まず試すこと」。AI活用も含めて、新しい技術や開発スタイルを積極的に取り入れ、小さく高速に検証する文化があります。

エブリーのAppエンジニアが得られる視野とキャリア
─『エブリーでAppエンジニアとして働くことでしか得られない経験』を挙げるとしたら、どのようなものでしょうか。
3つお伝えしたいと思います。
1つ目は、国内トップクラス規模のtoC Appを通じて、AI時代の新しいUI/UXに挑戦できること。toBではかなり使われるようになってきたAIですが、toCではまだまだ途上です。toCで広く受け入れられるようなAIを前提したUI/UXに挑戦できる環境があります。
2つ目は、AI時代のモバイル開発を最前線で経験できること。単なるAI利用ではなく、AIを前提にしたリポジトリ設計や開発フローそのものを変えていく経験ができます。
3つ目は、職種を越境しながらプロダクト全体に関われること。AppエンジニアであってもBackendやAI実装まで踏み込みながら、ユーザー体験全体を設計していく経験を積めます。
私自身、2016年にエンジニア第一号としてエブリーに入社し、『DELISH KITCHEN』のAndroidアプリの立ち上げから、いまのCTOというポジションまで、社内で役割を広げてきました。Appを起点に、プロダクト・組織・経営へと視野を広げていく道筋が、エブリーには確かにあると思っています。
─プロダクト思考の高いエンジニアは、エブリーでどんな関わり方をしていますか?
エブリーでは、エンジニアが単に仕様を実装するだけではなく、PdMや事業側と一緒に課題設定から関わる場面が多くあります。
特にApp領域では、継続率やユーザー行動を見ながら、「なぜ使われるのか」「なぜ離脱するのか」まで踏み込んで考える文化があります。
AI活用によって実装コストが下がったことで、エンジニア自身がアイデア検証やプロトタイピングを高速に回しやすくなっていて、よりプロダクトに近い立場で価値提供できるようになっています。

一緒に「本気のApp開発」をやりたい仲間へ
「モバイルを軸に、BackendやAIまで越境する。これからのプロダクト開発を、一緒に作りませんか?」
AI時代になり、実装そのものの価値は変化しつつあります。その中で、ユーザー体験を深く考え、モバイルならではの価値を作れるAppエンジニアの重要性は、むしろ高まっていると感じています。
エブリーでは、Appを単なる開発領域ではなく、ユーザーとの最前線の接点として本気で向き合っています。モバイルを軸にしながら、BackendやAIまで越境し、これからのプロダクト開発を一緒に作っていきたい方は、ぜひ一度お話ししましょう。
「いきなり選考」ではなく、まずはカジュアル面談から、というスタイルを大切にしています。技術選定の背景やAI活用の現場感、組織体制について率直にお話しできる場をご用意していますので、少しでもご興味を持っていただけた方はお気軽にお声がけください。
エブリーのエンジニアが日々の取り組みを発信している「every Tech Blog」や、外部カンファレンスでの登壇情報も合わせてご覧いただけると、現場の温度感が伝わるかと思います。
引き続きエブリーは、「前向きなきっかけを、ひとりひとりの日常に届ける」というミッションに向かって、プロダクトと組織をアップデートし続けていきます。