食中毒を避ける「作りおき」レシピのつくりかた – DELISH KITCHEN独自の徹底した衛生管理、安全に伝えるための工夫とは?

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『DELISH KITCHEN』で発信している情報は、ユーザーの健康や生活自体に深く関わる責任を伴うことから、安心・安全に配慮したレシピ開発、コンテンツ制作を行っています。今回は、プレミアムユーザー向けに公開された「作りおきの定番レシピ」シリーズがどのように衛生面を考慮しながら制作をしているのか、その裏側をご紹介します。


Sakuka
DELISH KITCHEN カスタマーサポート担当

Minami
DELISH KITCHEN フードスタイリスト(管理栄養士)

森川えりか
DELISH KITCHEN フードスタイリスト(管理栄養士)




「作りおき」レシピとは?

ープレミアムサービスで公開している「作りおきの定番レシピ」シリーズは、2020年4月から登場しましたね。作りおきレシピは、ユーザーから一定の人気があるコンテンツなんですか?

 そうですね、「作りおき」というキーワードで検索される回数も多く、人気のあるコンテンツだと考えています。僕もそうですけど、仕事が終わった平日の夜、キッチンに立って1から調理をするのはなかなか腰が重いですよね。それでも手作りのご飯で健康に気を遣ったり、節約をしたいというニーズから、土日など時間がある時にまとめて作ったおかずを少しずつ食べるという「作りおき」の文化が形成されてきたと思います。

ちょうど、配信がはじまった2020年4月は、新型コロナウイルスが日本でも猛威を奮い始めたタイミングでした。暮らしの中心が「おうち時間」になり、キッチンでの調理回数、時間が増えていった変革期でもあったので、受け入れられやすいコンテンツだったのかなと思います。

 

ー「作りおきの定番レシピ」に込められている、『DELISH KITCHEN』だからこその特徴やこだわりを教えてください。

『安心・安全』なレシピにするために、基本の整理や手順を徹底したことです。「作りおき」という名の通り、調理した日を含めて料理を最低2日〜数日間保存しておくことを前提としています。しかし、衛生面に配慮しないと食中毒を引き起こす危険があり、非常に注意が必要です。

そもそも、基本的に衛生面を考慮すると、作った料理はすぐにいただくのがベストです。しかし現代においては技術レベルの向上から、例えば密封容器や密封ラップの精度が上がり、食品の鮮度を一定に保つことができるようになりました。他にも冷蔵庫の性能が上がり、なるべく温度を一定に保てることなども、「作りおき」レシピが成立し、流行している背景だと思います。

『DELISH KITCHEN』では、時代背景を考慮しながら、”今”ユーザーが求めるレシピコンテンツを届けたいと思っています。作りおきレシピを安全に楽しめるように、細かいルールや手順を整備し、自信を持ってお届けできるように進めてきました。監修として、公益社団法人 日本食品衛生協会や相模女子大教授の堤ちはる先生などにも見ていただき、プロの目線でもアドバイスをいただいています。

 

衛生面に考慮し、食中毒を避けるポイントとは?

ーでは、そのポイントについて詳しく教えてください。

大前提として、作りおき料理の大敵は、細菌です。細菌の増殖が食中毒を引き起こす原因となります。特に細菌性食中毒は、ジメジメした梅雨の時期や気温が高い夏場など、高温多湿なときに多発しますので、季節によっても注意の度合いが変わってきます。

ポイントは、「細菌をつけない」「細菌を増やさない」「細菌をやっつける」ことです。



ー1つずつ見ていきたいです。まず、細菌をつけない工夫は、手洗い以外にありますか?

たくさんあります。まずは調理台や、調理器具を清潔にすることです。食材が触れるところは全て清潔にしておくのが基本です。

続いて食材の衛生管理です。ラップしてある野菜やカット野菜も十分に洗います。肉や魚には細菌が付着していることが多いので、包丁は「生で食べる野菜」「加熱する野菜」「肉や魚」の順番で使用できるといいですね。包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて、使い分けると安全です。

手洗い自体もこまめに行うことが大切です。工程が変わるごとに十分に洗い、盛り付け前まで抜かりなく清潔にしましょう。

また、冷凍してある食品を解凍する際、室温で解凍すると食中毒菌が増える場合があります。冷蔵庫に移して解凍する、電子レンジ解凍する、流水で短時間で解凍するといった方法がおすすめです。

 

ー続いて細菌を増やさない、冷蔵/保存のポイントを教えてください!

まずは、容器についてです。空気に触れないようにして密封すると食中毒菌の侵入や酸化を防ぐことができるので、口がしっかりと閉まるチャック付き保存袋がおすすめです。保管容器についても、フタやパッキン、溝があると汚れが溜まりやすいので注意が必要です。できれば熱湯消毒をするなど、できるだけ清潔にしてください。

保存のポイントは、「水分を避けること」です。水分は細菌の増殖には必須であるため、汁気がなるべく少なくなるように仕上げます。生野菜を洗った際も、キッチンペーパーで水気を拭き取りましょう。料理が熱いうちに容器に入れると、水蒸気が水滴となり容器のフタなどに付着します。料理に熱がある場合は、十分に冷ましてから容器に詰めましょう。

 

ーでは3点目ですが、「細菌をやっつける」ことができる調理法とは、どんなものですか?

十分に加熱をすること、です。冷蔵庫に保管していた料理を再加熱する場合も、十分な加熱を行ってからお召し上がりください。多くの細菌が死滅する目安は、食品の中心温度が75℃以上を1分間以上キープした状態とされていますが、調理用の温度計がないご家庭も多いため計測するのは難しいですよね。

基本的にはレシピに記載してある通りに加熱をしていただき、肉や魚などは「中に火が通っているか」、実際に見て確認をしていただけるとよいと思います。

 

作りおきレシピの組み立て方とは?

ー細菌を避ける方法については分かりました。具体的にはどのようにして作りおきのレシピを設計しているんですか?作りおきレシピではない、他の通常レシピとの違いはありますか?

衛生面を特に考慮しながら設計をするという点では、「作りおきの定番レシピ」とそれ以外の通常レシピとでは違いがあります。「作りおきの定番レシピ」は、レシピを作る前にどれくらいの日数保存できるかを計算しつつ、ガイドラインに沿って検討し、撮影後にも保存の検証を行います。通常のレシピでは生野菜を使うような料理であっても、「作りおきの定番レシピ」ではできるだけ生野菜以外の食材を組み合わせて作る工夫をしたり、煮物などは出来上がりの水分量を減らすために、調味料や調理時間の調節を行っていたりします。

レシピの組み立て方としては、通常レシピと同様に、食材と調味料、加熱の有無の組み合わせをベースに考えていますが、注意点がいくつかあります。

まず、手を加えずにそのまま食べられるかまぼこなどの練り製品やソーセージもできる限り加熱します。調理の工程上、加熱できない場合には調理する直前に冷蔵庫から取り出し、調理後は速やかに冷蔵庫に保存します。
また、リステリア菌に汚染されている可能性があるため、加熱していないナチュラルチーズ系の使用も危険です。
そして先述の通り、余分な水分を避けるため、未加熱の野菜を使用する際はしっかりと洗って水分をよく拭き取ってから調理します。



ーレシピによって、保存日数は異なりますか?

もちろんです。レシピごとに、保存できる日数の目安を記入しています。これは、私たちも実際にレシピを再現し、指定期間の保存を行い、匂い・食感・味に変化がないかを確認した上で記載している日数です。

まず、私たちは扱う食材と、合わせて使う食材・調理方法ごとに保存目安表を作成しています。これを元に、レシピごとに保存できる日数を大まかに決めており、その保存日数が本当に適切なのか、実際に調理をして、規定の日数以上保存し、匂い・食感・味の確認をしています。

一部ですが、卵を使ったレシピの場合の保存日数をご紹介します。


ー卵だけでも、かなり細かい区分に分けているんですね!

これでも区分数は少ない方です!例えば肉の場合は「食材や調味料との組み合わせ」が47通りありました。それぞれのパターンに分けて、保存可能日数を算出しています。

 

ー卵に「豆腐や傷みやすい野菜」をプラスすると保存期間が1日短くなるのに対し、そこに「お酢やレモン」を加えた場合保存期間が短くならないということは、「お酢やレモン」は保存期間を伸ばすことができる調味料ということですか?

お酢やレモンなど酸性の強い調味料は、細菌の増殖を抑える作用があるため、作りおきの保存日数に有利に働きます。「漬け物」などは保存食として代表的な料理ですが、まさにこれらはお酢と塩を使い、数日間の保存を可能にしていますよね。

また、あくまでこれらの保存日数は目安です。ユーザーの調理環境はそれぞれ異なるため、出来上がった料理の状態や保存日数も異なってしまいます。なるべく料理から細菌を遠ざけるよう、レシピ動画内でもテロップで注意喚起を行っていますので、ぜひユーザーの皆様にはこれらの表記をお守りいただいた上で、作りおきレシピをお楽しみいただけたらと思っています。


「作りおきの定番レシピ」について、ご留意いただきたい項目は以下のURLでもご覧いただけます。ぜひ合わせてご参照ください。

▼関連リンク
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