
2024年12月よりベータ提供を開始した、AI料理アシスタント「デリッシュAI」。献立決めに対する多様なニーズを反映し、AIに話しかけるだけでユーザー一人ひとりに合ったレシピを提案することが可能となりました。「さっぱり系/コッテリ系」などの曖昧な質問にも対応可能となり、レシピ以外にも、食材に関する一般的な知識なども回答できる点もユーザーから評価されています。
そんな「デリッシュAI」の開発に初期から携わっているのが、開発本部の古濵さんです。今後も進化し続けるサービスにおいて、”今”開発に携われることの面白さとは。今回は古濵さんに話を聞きました。
古濵 尚樹
開発本部 開発1部
香川大学大学院在学中にインターンとして開発に参画し、卒業後2022年に新卒としてエブリーに入社。新規事業のデータ整形の自動化による業務効率化の取り組みを経て、2023年8月から『デリッシュキッチン』アプリのレコメンド開発や分析に従事。2024年から「デリッシュAI」の開発に携わる。
「デリッシュAI」プロジェクトへの参画と初期の印象
ー「デリッシュAI」の開発に携わったきっかけを教えてください。
古濵:私が入社した当時、開発本部では、AI技術のプロダクト導入に関する事例作りを進めていました。その一環として、レコメンド機能の開発を行っており、外部イベントでの事例発表なども経験しました。当時は現場主導でボトムアップのような形で、技術的な可能性を探っていた形です。
その後2022年の11月にChatGPTが登場し、コストが安価で性能高いモデルであるGPT-4o-miniが2024年7月にリリースされました。生成AIの台頭で、事業部側から「デリッシュAI」プロジェクトの立ち上げ要望があり、上長から引き継ぐ形で私が担当することになりました。具体的には、上長がプロトタイプした機能をベースにAI処理部分を私が担当し、サーバーエンジニアやクライアントエンジニア、PdM、デザイナーと連携して開発を進めていきました。
ー開発初期、課題や不安に感じたことはありましたか?
古濵:正直、コスト面と生成AIの特性(確率的振る舞い)に当初は不安を覚えました。OpenAI APIはリクエスト課金制であるため、ユーザー利用状況によってコストが変動します。そのため、利用状況の予測やコスト管理が非常に難しく感じました。
また、生成AIは従来のシステムとは異なり「決まった入力に対して決まった出力をするわけではない」という特性があります。予想外の出力が生じる可能性も考慮し、定性的な評価を重ねる必要がありました。
開発初期段階においては、レシピとは無関係な質問への応答を避けるため、処理の冒頭で質問内容がレシピに関連するかどうかをLLM(大規模言語モデル)に判断させていました。しかし、この厳格なフィルターが原因で、一時期バズったイタリア料理「暗殺者のパスタ」のように特定の単語が含まれるためにレシピとして不適切と判断される。「糖尿病の人におすすめのレシピ」のように医学的要素があると見なされて応答できない。など、ユーザーが本当に求めている情報を提供できないケースが発生していました。
現在は公序良俗に反する内容や、明らかに不適切な質問以外は、ある程度の柔軟性を持たせて回答できるように調整しています。このように、当初はAIの出力をトレースする仕組みを構築したり、ハルシネーションのリスクに対応するなど泥臭い作業が多くありました。
エンジニアから見る「デリッシュAI」の”今”
ー2024年12月のリリース当初と比較して、現在のプロダクトの成長や進化をどのように感じていますか?
古濵:リリース当初は、とにかく本番環境へのリリースを最優先としていたため、実装まで最短距離で進めていました。当時は私がほぼ全てコードを書いていましたが、今後他のエンジニアが担当する可能性も踏まえ、現在では開発のAgility向上に向けたリファクタリングやコード管理方法を見直すなどの整備を進めています。
また、ユーザーの利用状況を分析し、その結果を基に改善も進めています。LLMを活用してユーザーの検索意図を分類し、N1的に分析しています。分析結果をPdMに連携し、改善すべき点を洗い出すことで優先度付けをしています。この仕組みはすでに自動化しており、ユーザーの利用目的の把握をダッシュボードから確認できるようになっています。
ー”今”「デリッシュAI」に携わる面白さはどのようなところにあると思いますか?
古濵:デリッシュAIに今携わる面白さは、プロダクトとしての成長過程に立ち会い、共に創り上げていけることにあると考えています。
現状の「デリッシュAI」は、ユーザーの潜在的なニーズを引き出し、能動的にレシピ提案ができるよう、まさに成長の真っ只中です。「昨日食べすぎてしまった」「今日は食欲がない」といった個人の状況や健康状態、気分などをヒアリングし、対話を通じて最適なレシピを提案する。明確な目的を持たないユーザーにもきっかけを提供できるような、そんな新しいユーザー体験を創造していこうとしています。
また、デリッシュキッチンの主要機能との連携も重要な要素です。「デリッシュAI」ならではの価値を提供するためには、レシピから買い物メモへの自動連携や、調理中のメモ機能など、アプリ内の様々な機能を連携させることが不可欠です。これらの連携により、アプリ全体の価値を高め、ユーザーの食生活をより豊かにすることを目指しています。
「デリッシュAI」はまだまだ進化し続けます。このような未来にワクワクし、その実現に向けて日々向き合い続けられる方は、大きな面白さを感じていただけるのではないでしょうか。
ー「デリッシュAI」開発でやりがいに感じているところを教えてください。
古濵:生成AIを導入したプロダクト開発では、試行錯誤の繰り返しが不可欠です。地道な作業ではありますが、改善を重ねることで確実にサービスが進化していく過程は非常にやりがいを感じています。
ToCアプリに生成AI機能を組み込む事例はまだ多くなく、我々は先駆者的な立場にあると思います。今後のキャリアにおいても、今の経験は間違いなく役立つと感じています。
ーお話いただきありがとうございました!
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