世界No.1(※1) 除脱毛ブランド「Veet」は、2017年から電動トリマーの領域に進出。新商品のプロモーションで動画広告を活用したところ配信後、売上13%UP(※2)を達成した。テレビCMと併用した動画広告の活用法とは。レキットベンキーザー・ジャパンのロバート・パース氏と「KALOS」の小渕ちあき氏に話を聞いた。
左)エブリー マーケティングソリューションズ マネージャー 小渕 ちあき 氏
右)レキットベンキーザー・ジャパン マーケティング本部 「Veet」ブランド担当 ロバート・パース 氏
新製品の電動トリマーにはターゲットの“教育”が必要
ロバート:除毛クリームやワックスシートを販売してきた除脱毛ブランド「Veet」は、2017年にブランド初の電動ビューティートリマーを発売し、ブランド売上43%(※3)アップを達成しました。これに新たな機能を加えて2018年2月に発売したのが、「ヴィートセンシティブ・タッチTMプレミアム」です。ユーザーのニーズに応えるため、従来品センシティブタッチと比較して防水機能を加え、可動式のヘッド(手動による角度調節において/顔用トリマーヘッドのみ対応)を備えたことで、より細やかにムダ毛ケアができるようになりました。
新商品の広告コミュニケーション戦略を検討するにあたり、考えたのは、この商品は消費者に対して“教育”が必要だということ。肌に優しいという根本的なベネフィットはもちろん、取り換えパーツで顔やビキニゾーンのムダ毛ケアも可能であることなど、一見するだけでは理解しにくい情報が多々あるからです。
しかし15秒のテレビCMだけでは情報量に限界があるため、テレビCMと併用してデジタル施策も実施しました。そこで着目したのが、ターゲットである美容意識が高い20代の若いユーザーを多く抱えている「KALOS」さんでした。ターゲットを絞り込んで深い情報を提供している印象があったため、今回の狙いに合うのではと感じて依頼しました。
小渕:リーチを取るためのテレビCMとは差別化した、商品“教育”を担う動画づくりが今回の私たちに課せられたミッション。そこで女性の日常のお悩みに寄り添ったリアルな動画を入口にして、商品機能や活用法、ベネフィットを訴えることができると考えました。
※1 世界むだ毛処理剤市場ヴィートブランド売上金額シェア 2016年1月~12月「ニールセン調べ」
※2 ヴィートプレミアム売上金額前週比(オンライン・オフライン含む)対象期間2018年4月30日~5月6日 2018年5月7日~13日
※3 自社集荷データ前年比(2016年1月~12月 対 2017年1月~12月)
お手入れ「あるある」をフックにリアルなシーンで商品機能を訴求
小渕:今回の動画では、①一本で顔からビキニゾーン、わき下のデリケートな部分を含めてムダ毛ケアができる、②防水タイプであること、③刃が肌に触れないからお肌に優しいこと、という万能性と意外性のある3点を特に伝えたいと考えました。これらのポイントを訴求するためには、女性のムダ毛ケアの“日常”シーンを描いて、これまでのケアのお悩みに共感してもらう必要があります。商品機能を冒頭でアピールしては、「KALOS」ユーザーに受け入れてもらえません。
冒頭ではムダ毛ケアの「あるある」お悩みに寄り添い、肌を痛めたり、パーツごとに道具が増えてしまったりといったお悩みを紹介。それを解決する手段として「ヴィート センシティブ・タッチTMプレミアム」の機能がある、とユーザーが情報を受け取りやすい流れをつくるように意識しました。
“日常”の場面を描くという意味で、シーンのリアルさも追求しました。通常、テレビCMでは美しいイメージカットを描くことの多い商品カテゴリーですが、動画では実際のお手入れの仕方が分かるよう、細かくありのままに描いています。
一方で、「Veet」ブランドのトーン&マナーを守り、ブランドイメージを損なわないように注意しました。これまでのテレビCMをチェックした上で、ブランドカラーのピンクを活用したり、動画に登場するモデルさんの表現や表情についても「Veet」ブランドの一部として違和感がないように工夫したりしています。
ロバート:「KALOS」の制作スタッフは「KALOS」ユーザーをよく理解しており、また制作スタッフ自身もターゲットに近いスタッフが多い。消費者目線・ビジネス目線、2つの視点を持って動画の内容を提案していただいたのがありがたかったです。
売上13%アップに繋がったのは“深く刺さるメディア”の活用
ロバート:できあがった動画を拝見して、ブランドのトーン&マナーを守りながら、リアル感のある動画に仕上がったと感じました。同時に「KALOS」メディアの世界観に沿っていて、ユーザーにとっては、「KALOS」で紹介されるファッションや化粧品の動画と並列の、美容に必要な道具のひとつとして受け取ってもらえたのではないかと思います。
小渕:テレビCM放映後の5月に動画を「KALOS」で公開しました。公開後多くのコメントが寄せられて、ムダ毛ケアは20代の女性が誰しも抱えているお悩みなのだと実感しましたね。
配信後に行った調査では、広告接触者の90%のユーザーが好意的に受け取ってくださっており(「好き」「まあ好き」という回答の合計)、かつ、訴求したかった3つのポイントについて、広告非接触者と比較してブランドリフトの値が20~30%上昇していました。ユーザーのお悩みに寄り添いながら、自然に商品機能を訴求できたのかなと思います。
ロバート:「KALOS」での動画配信後、POSデータ上で商品売上が13%上がっていると確認できました。今回のプロモーションでは、他のデジタルメディアとテレビCMとの併用など様々なパターンで施策を打ち、売上の推移を確認していますが、「KALOS」×テレビCMの実施期間の売上がもっとも伸びていた。
この結果を見て、テレビCMで広い認知を狙いながら、「KALOS」のように限定されたターゲットに対して強い影響力を持つ“深く刺さるメディア”で商品機能や活用法の理解を狙う仕組みが、効果が高いと考えているところです。「Veet」にはこの商品の他に除毛剤や脱毛剤などのラインナップがあります。ぜひまた何かでコラボしたいですね。