8月31日(土)に池袋サンシャインシティのアルパB1噴水広場で行われたのは、全国の商業高校生がプロデュースする“食”の商品コンテスト「商業高校フードグランプリ2019」。今回、DELISH KITCHENの全レシピをチェックしている副編集長の井原裕子が特別審査員として参加し、予選を通過した7校の審査を行いました。その舞台裏をお届けします。
井原 裕子
DELISH KITCHENカンパニー 副編集長 料理研究家
米国、英国に約8年在住した後、料理研究家のアシスタントを12年勤め独立。季節感を大切にした身体に優しい食べ方の提案や、海外での生活経験から食材を工夫したレシピ提案が人気となり、「NHK きょうの料理」をはじめ多数のメディアに出演。2016年からDELISH KITCHEN副編集長としても活躍し、全レシピの監修を手がける。
大切なのは、実際に家庭の食卓で食べてもらえるか
ーまず、「商業高校フードグランプリ」に込められた思いとはどのようなものなのでしょうか。イベントを主催する伊藤忠食品株式会社の間野 怜名さん、山田 育実さんにお伺いしました。
(写真左から)伊藤忠食品株式会社 人事総務部 CSR・CSVチーム 間野 怜名さん、 伊藤忠食品株式会社 人事総務部 CSR・CSVチーム 山田 育実さん
間野氏:「商業高校フードグランプリ」は商業科目を有する全国の高校を対象に、高校生が開発した商品のNo.1を決定する大会です。今年で7年目になり、コンテストを通じて継続的に流通・販売可能な商品の条件や課題を学ぶことで、商品の改良や次の商品開発に活かしていただくこと、地域食文化の活性化に寄与することを趣旨として開催しています。
山田氏:高校生が地元の特産品を使ってメーカーと共同開発した商品を募集し、35校・56品エントリーの中から各ブロックそれぞれ1校ずつ代表校を選出しました。予選を通過した6校と特別出場校※1校の計7校・7品が本選に出場しています。その商品の審査を、高校生を含めた若年層からも支持されているDELISH KITCHENさんにお願いしたいと思い依頼しました。
※特別出場校…商業科目は有しておりませんが、地域貢献度の高い商品開発に取り組んでいる高校のため今回特別出場としています(グランプリなど受賞対象外)。
井原:ありがとうございます!今回は高校生のみなさんにも、商品開発やレシピ開発をする際のマーケティングやプロモーションとしてDELISH KITCHENという「食」のプラットフォームがあるということを知ってもらうきっかけ作りができたらと思い、参加させていただきました。
ー今回DELISH KITCHENから特別審査員として参加しましたが、どういった点を重視していたのでしょうか?
井原:DELISH KITCHENでは、動画の再生数を追いかけるだけでなく、ご家庭で作る際にも失敗することなく作れて美味しく食べることができたか、という点を大事にしています。毎月約1,000本のレシピが公開されていますが、私はその全レシピを監修していて、調味料の量が適切か、作り方が簡潔で分かりやすいかなど実際に料理をする人たちの目線でチェックしています。
ですので、今回設けられている評価軸に加えて、実際に家庭の食卓に上った時に使いやすい商品なのか、表示項目なども審査のポイントにしていました。また、DELISH KITCHENでは、メーカー商品を使ったアレンジレシピの動画を制作することもありますので、商品の味はもちろんですが、プラスαの活用方法など様々な知見を生かして高校生の皆さんにアドバイスさせていただきました。
高校生たちの地域貢献への熱い想いに、審査会議も白熱!!
ー審査当日は、夏休み最後の週末ということもあり、サンシャインシティ アルパB1噴水広場に作られた会場は大盛況でした。
ー会場では、高校生が自分たちで開発した商品を実際に販売もしています。試食をしてもらいながらお客様の反応をみて、さらなる商品の改良につなげているそうです。
ー本選では、ご来場のお客様による投票に加えて、審査員による試食と、各校5分ずつ、地元特産品を活用した商品開発の経緯や地域活性化についてプレゼンテーションを行います。試食販売を行なっていた時とは違う真剣な表情で、地元を盛り上げたい、資源を有効活用して社会に貢献したいなど各校、熱意のあるプレゼンテーションを披露していました。
ー全てのプレゼンテーションが終了すると、審査員は審議に入ります。主な審査項目は7つあり、それぞれに点数をつけていきます。
①商品の味、食べ方の創意工夫
②商品の独創性、新規性
③商品のネーミング、パッケージデザイン
④価格の妥当性
⑤商品の流通性および発展性
⑥商品開発による地域社会への波及効果および貢献度
⑦プレゼンテーション
ー審査員には、流通や食品メーカー、出版社やエブリーのようなIT企業までさまざまな業種の方々が参加しています。ビジネスの実態に即した流通性やパッケージの使い勝手などについても指摘がおよび、意見が飛び交う会議は真剣そのもの。生徒たちの熱い想いに答えるように、議論は白熱していました。ただ、各校とも商品の出来は素晴らしく、それぞれ賞を選ぶのにとても苦労していらっしゃいました。
ー井原も、全てのチームに点数をつけていきます。事前に頂いた資料などを元に、パッケージデザインやレシピへの活用の幅などについて、DELISH KITCHENのフードスタイリストたちにも意見を聞いていたそうです。そこに、当日のプレゼンテーションの内容や実際に試食した味についての評価を加えていきます。
大賞は「えごまアイス」!井原が選んだ審査員特別賞には「みそこんぶもん」が輝きました!
ー大賞は、茨城県立石岡商業高等学校の「えごまアイス」に決定!来場者賞でも選ばれ、見事なダブル受賞でした。審査員コメントで井原は下記のようにコメントし、絶賛していました。
井原:甘すぎず風味も良くて、とっても美味しく頂きました。そして、ターゲットと訴求ポイントが明確にマッチしていて素晴らしい。また、事前にいただいた資料をDELISH KITCHENのフードスタッフと一緒に見ていたのですが、パッケージが可愛いと大変好評でした。
ーそして、審査員特別賞として井原が選んだのは岸和田市立産業高等学校「みそこんぶもん」!”泉だこ”の認知拡大と地元魚介類のイメージアップのためにはじめた商品開発。魚介類だけでなく、様々な料理への活用法も考えられており食卓にのぼる調味料としての完成度が高い商品でした。受賞校に対して井原は、表彰式で以下のようにコメントしました。
井原:DELISH KITCHENでは、「だれでもかんたんに美味しくできる」レシピ提案をコンセプトにサービス運営をしています。今回は、味に加えて、レシピの活用の幅はあるか、家庭で実際に使いやすい商品かなどを中心に評価させて頂きました。
「みそこんぶもん」は、醤油や味噌など複数の伝統調味料をうまく使っていて、味はもちろん、地元への貢献度の高い商品だなと感じました。先ほどの試食で初めて”泉だこ”食べましたが、とっても美味しく頂きました。
さらに、すでに80品のアレンジ料理が考えられていて、レシピの幅が非常に広い点を評価して特別賞に選ばせていただきました。ラベルにQRコードを載せるなど実際に手に取るお客様のことも考えられていて素晴らしいなと思いました。おめでとうございます!
商品プロモーションや新たな販売経路を知ってもらうきっかけづくりを
ー最後に、今後どのような活動を目指していかれますか?
間野氏:商品開発には企画力だけでなく、流通に必要な知識や技術を体験的に習得することが求められます。食品の中間流通業を営む伊藤忠食品では、CSR(企業の社会的責任)の一環として、人材育成の観点から、商業高校の教育支援を行っています。未来を担う高校生への教育を継続的に支援するとともに、地域活性化に繋がる商品の販売を推進することでCSV(本業を通した社会との共有価値創造)まで取り組んで行ければと思います。
今回、DELISH KITCHENに興味を持っている生徒も多くいました。エブリーさんには今後とも、ぜひ協力していただきたいです!
井原:もちろんです。エブリーでは、DELISH KITCHEN以外にも、ライブコマースのサービス運営もしています。さまざまな形でコラボレーションできそうですよね。
高校生の時にこうした商品開発について学ぶ機会や、プロからの意見をもらうことは本当に貴重で素晴らしいなと思いました。DELISH KITCHENとしても「食」に関わる課題を解決していくサービスとして、将来を担う高校生たちに、商品開発やレシピ開発をする際のプロモーションや新たな販売経路を知ってもらうきっかけ作りができたら嬉しいです。
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