「DELISH KITCHENが目指す、食におけるOMOの顧客体験サービス」とは何か。OMO事業部長の鵜飼がインストアテック2019で登壇しました
9月12日に大阪で、9月19日には東京で開催されたOMO時代のインストアテクノロジーがテーマのイベント「インストアテック 2019」。そのセッションに執行役員 DELISH KITCHENカンパニーOMO事業部長 鵜飼 勇人が登壇し、流通小売・メーカーのみなさまに向けて「DELISH KITCHENが目指す、食におけるOMOの顧客体験サービス」についてお話ししてきました。
鵜飼 勇人
執行役員 DELISH KITCHENカンパニー OMO事業部長
2006年慶應義塾大学卒業後、トーマツ コンサルティング株式会社(現:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)に入社。2008年1月よりアクセンチュア株式会社に入社、金融業界向けのマーケティング事業に従事。 2011年4月、グリー株式会社へ入社し、プラットフォームの事業戦略、グローバル展開を担う。 2013年4月よりリブセンスに入社、キャリア事業部長として転職サイトなどの運営を主導。 2017年7月、株式会社エブリーに入社、経営企画としてリテールソリューション事業の立ち上げに従事。2019年6月に執行役員、DELISH KITCHENカンパニーOMO事業部長に就任。
ーDELISH KITCHENがなぜOMO事業を立ち上げたのか、流通・小売向けサービスを開始したのかお話ししてきました。
“食”に関わる全てのユーザーから、もっと必要とされるサービスになるために。 「DELISH KITCHEN」が挑むOMO事業の展望とは?
そのOMO事業部が発足してから3ヶ月が経過。実際に活用された事例やその効果が明らかになってきました。登壇の内容を一部お届けします。
メーカー向けにも、流通・小売との連携によってより良い価値提供をしていきたい
ーまず鵜飼から語られたのは、DELISH KITCHEN 広告事業がいかにして始まったのかでした。
鵜飼:DELISH KITCHENは、2015年から「誰でも簡単に美味しく作れるレシピ」をコンセプトにサービスを開始しました。2年目くらいからは、メーカー商品のプロモーションをはじめまして、メーカー商品を用いたレシピを開発し、新たな使い方をご提案するといった広告事業を行ってきました。単なる商品広告ではなく、サービスの中でユーザーに自然に視聴してもらえるため、広告好感度が高くブランドリフトができるなどの効果があり、現在数百社のお客様とお取り組みさせていただいています。
鵜飼:左側が、お客さんが商品を認知するファネルになります。この認知から購買までをフルサポートしたいというのが私たちの思いです。認知領域についてはアプリ内のディスプレイ広告を配信するところがあったり、それと掛け合わせてタイアップの広告が配信できるようになっています。同時に、DELISH KITCHENではアプリ内でクーポン提供も可能で、これによって認知だけでなく、購買促進や店舗送客まで図っていくことができます。さらに、こうしたオンラインのサービスだけでなく、オフライン領域である店頭デジタルサイネージでのレシピ動画の配信まで一連のメニューとしてご提案し、最後の購買意思決定を後押しするところまでサポートしています。
ーメーカーへの広告事業展開が始まってから約1年半後、流通・小売向けのリテールサポートプログラムが始動します。
鵜飼:これまでメーカー向けに提供してきたサービスですと、比較検討のファネルまでしかサポートできていなかった。メーカーの方が本当に求めている、「商品を買ってもらう」ところまでサポートしたい、ということで流通・小売との連携を模索しはじめました。また、消費者の方は食品をどこで買うかというと、まだ店頭で買うという方がほとんどです。やはり「食」を扱うサービスとして、流通・小売と提携していかなければいけないという思いもありました。
鵜飼:色々ヒアリングさせていただいた結果、さまざまな課題が見えてきました。まず、集客の課題点としては、折り込みチラシ以外の施策を展開していきたいというお声や施策の来店計測をしていきたいというお声を多くいただきました。世間では若年層の新聞購読率が下がり、デジタルを中心に多種多様な広告媒体・手法が出現しています。折り込みチラシ以外の施策を展開し、将来的なロイヤル顧客となる若年層を取り込みたいという思いはあるものの、現在存在する複数のWebチラシソリューション・広告配信ソリューションがどこまで閲覧されているのか、どの程度来店につながっているのかが不透明な部分もあり、大きく投資を踏み込めないという点も課題のようです。
一方店頭では、一回一回の購買単価(バスケット単価)を上げていきたいという課題感を多くいただいています。また、消費者の中には1店舗だけでなく複数店舗を利用される方がいらっしゃるので、他店との差別化を図るために提案型の店舗に変化していきたい、離反顧客の防止・囲い込みをしたい、という課題感をお持ちの小売さんが多い印象です。
しかしながら、これらの課題を解決するには店頭の人手不足が深刻です。その人手不足を補い、なるべく自動で運用できるような仕組みで、流通・小売が抱える課題を解決できる施策はないか。そこで、始まったのがDELISH KITCHENのリテールサポートプログラムになります。
流通・小売向けサービスの強みは店頭デジタルサイネージだけではない、トータルサポート!
鵜飼:さまざまな課題がある中で、”何か一つのサービスを提供して終わり”としてしまったら、根本的な課題解決にはなりません。DELISH KITCHENでは集客から売上向上まで総合的にサポートしたいと考えソリューション提供をしています。
鵜飼:例えば、集客的なところでいうと、「WEBチラシ」と書いておりますが、こちらには毎日配布されているチラシと同じ特売情報を入稿できるようになっており、レシピを検索しているアプリユーザーの送客が期待できます。逆に、小売様がすでに運営されているアプリやWEBサイトなど集客を図っているところには、DELISH KITCHENのレシピ動画をコンテンツとして提供。全て、MD計画という商品の販売計画に基づき配信できるようになっているので、小売様それぞれの課題に合わせた使い方をしていただけます。
さらに店内では、店頭デジタルサイネージでのレシピ動画の放映だけでなく、ビーコンを設置し、来店されたお客様がお持ちのスマートフォンに通知をすることもできます。これによって、レシピ動画と連動した特売情報だけでなく、店舗のお知らせも配信することが可能です。
こうしたサービスの裏側では、いろんな分析もソリューションとして提供していて、店頭カメラソリューションとありますが、店頭でどういった方がどのくらい見ていたか計測し分析しています。
ーまた、エブリーは7月に伊藤忠食品株式会社(以下、ISC)との資本業務提携を発表しました。OMO事業のさらなる成長が期待されています。
鵜飼:さらに、DELISH KITCHENのリテールサポートプログラムをより多くの流通・小売様に使っていただけるよう、ISCと資本業務提携を締結し、タッグを組んで一緒にやらせていただいています。
鵜飼:エブリーのデジタル領域の知見やコンテンツ力と、ISCがこれまで培ってきた小売業・メーカーとの接点や売場提案力を掛け合わせて、次世代の技術を活かした販促提案を推進していきたいと思っています。今まで話してきたような流通・小売に向けた販売促進や送客施策のデジタル化の推進はもちろんですが、メーカーに向けた多面的な露出機会も引き続き提案していきます。
DELISH KITCHENとしては、アプリ内やSNSでのオンラインの展開だけでなく、店頭というオフラインでもフルサポートできる体制の強化もしています。
リテールサポートプログラムは、オーダーメイドでソリューション提供
ーここからは実際に導入された店舗での活用事例と実績について語られました。そこには、DELISH KITCHENのリテールサポートプログラムが選ばれる理由が隠されていました。
鵜飼:我々は、提携先の課題・ニーズをお伺いしてオーダーメイドでご提供しています。オーソドックスな事例としては、特売商品が陳列されている棚に、デジタルサイネージを配置し、関連するレシピ動画を放映するという形です。売り場に合わせて、横型だけでなくスマホで見た時と同じような感じで縦型のモニターで設置も可能ですし、小さな11インチサイズのタブレットを置くこともあります。
※こちらのサイネージデザインは旧デザインです。
鵜飼:さらに、店頭での人手不足解消や常に販売員がいるとは限らない中で、お客様を引き寄せる効果があると、試食販売などさまざまなシーンでご活用いただいています。
また、省人化・省略化などのコスト削減という点で評価をいただいた事例もあります。DELISH KITCHENの店頭デジタルサイネージは、小売様がお持ちの自社のコンテンツも合わせて配信することができます。本部から一括で複数の店舗に対して情報を配信することができますので、導入店舗ではレシピ動画による購買意欲の向上だけでなく、POPの制作時間や印刷費用、準備にかける人件費を削減することができたとご好評いただいています。
鵜飼:さらに全店導入いただいているライフでは、ひな祭りのキャンペーン時に、メーカー商品を使った広告としてのレシピ動画の配信も行いました。こちらは、レシピ動画内に使用している食材をメーカー商品と小売のPB商品で作成し、関連する商品と販売を行いました。結果としては、ライフのPB商品のPI値は、昨対比で30%以上向上しています。
もう一つ、この施策ではモニターの大きさについての実証実験も行っていました。ライフの中でも大型モニター(32インチ~55インチ)と10インチのタブレットサイズで展開している店舗があります。どちらの方がより多くのお客さまに視覚的に訴えられるのか、実際に購買につながるのかを検証した結果、大型モニターの効果が高く、10インチのものと比較して販売点数・売上が160%以上伸びていることがわかりました。
鵜飼:サイネージ上で広告を展開するというところについてはまだまだ研究段階です。我々は、ユーザー、メーカー、流通小売と「DELISH KITCHEN」をご活用いただいている皆さまに対して提供できるサービス内容を更に充実・最適化できる余地がまだまだあると思っています。購買の結果だけではなく、閲覧状況を見たり、様々な施策の効果指標を深掘りし、その都度機能を追加したり、汎用性の高い機能に修正したり、トータルサポートのために常にサービス開発をしています。
ユーザーへもメリットを還元!「食」にまつわる全てのフェーズをサポートするプラットフォームへ
ー最後に鵜飼から語られたのは、DELISH KITCHENのOMO事業部がこれから目指す世界についてでした。「食」領域におけるOMOとは一体どういうことなのでしょうか。
鵜飼:オンラインとオフラインの情報が一つになり、「食」という領域において一人のユーザーの形跡を全て辿っていき、各シーンでの最適な提案をしていくことをDELISH KITCHENではOMOと捉えています。
鵜飼:こちらの図は、DELISH KITCHENを利用するユーザーの行動を過程ごとに追っています。真ん中の「食材を買う」フェーズでは、「生鮮食料品の購入決定時期」について半数以上の方が店頭で意思決定していると回答しました。こういった人々に対しては、店頭デジタルサイネージでレシピ動画を見てもらい、購買の後押しをすることができると思います。
また、「レシピを調べる」際には、60代と20代では異なる点を重視していることがわかります。店頭での特売情報も、年代別にレシピレコメンドや情報の出し分けができるオンラインサービスと連携し、よりパーソナライズ化されたソリューション提供が求められていきます。
鵜飼:オンラインだけでなく、オフラインの情報も繋げていくことで、何が検索されて、その結果その食材が買われたのか、買った食材は使われたのか、ということが可視化できるようになります。さらにどのレシピが作られたか、半分くらい食材が余ってしまった場合は、「その食材を使って今度はこのレシピはどうですか?」「その余った食材+新たにこの食材を使ってこのレシピを作りませんか?」と提案することができます。ユーザーの「料理に関する悩み」を解決し、メーカーや流通・小売にとってもより良い価値を提供できる、そんな世界観を作りたいと思っています。
レシピの検討〜食材の購入、さらに調理後実際に料理を食べた感想を共有したり、お気に入りに保存するという一連の流れに至るまで、DELISH KITCHENは一気通貫でサービスを提供し、「食」にまつわる全てのフェーズでお客様をサポートできるプラットフォームを目指していきます。
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