今年10月から、エブリーで『MAMADAYS』のユーザーグロース部 AppUserGrowthグループプロダクトマネージャーを務める岸田。エンジニアになったきっかけやこれまでの経歴、CTO/CPOなどを経験した彼が新たな挑戦の場になぜエブリーを選んだのか、詳しく話を聞きました。
岸田崇志
MAMADAYSカンパニー ユーザーグロース部 AppUserGrowthグループ
2006年3月博士(情報工学)取得。大手ネットワークインテグレータを経て、2009年5月グリー株式会社に入社。エンジニア兼事業責任者を経てJapanStudio統括部長、開発本部副本部長を歴任。2013年10月同社執行役員に就任し、内製ゲーム事業を統括。2015年11月株式会社LITALICOに入社、執行役員CTOに就任。その他、社外CTOを始め数社の技術アドバイザーを務める。その後、ウェルスナビ執行役員CPO、スマートドライブCTOを務め、2020年10月エブリーに入社。現在はMAMADAYSのプロダクトマネージャーを務める。
きっかけは高校生の頃の夢
ー岸田さんは数々の企業でエンジニアから経営層まで携わってご活躍されていますが、そもそもインターネット業界を目指すきっかけは何だったのでしょうか?
岸田:私が高校生の頃、「インターネット元年」と持て囃され世の中が大きく変わる予感を持ったのがIT業界を志すきっかけでした。特に1995年に発売されたWindows95が世間に与えたインパクトは強烈でした。
この頃からインターネット業界を牽引するような仕事に就きたいと思い、「このサービスがあるから便利になった」と身近な人に言われるようなプロダクトを作ることが夢でしたね。
なので、当時はまだ少なかったインターネット環境のある大学を探して進み、学生時代は当時としては最先端だった映像や音声の伝送の技術を使って教育×テクノロジーの研究をしていました。具体的には、小学校間を遠隔でつないで合唱などのセッションをしてみたり、その際にはどのような課題があるのかということを研究・実証していました。
ー社会人のキャリアはどのようにスタートしたのでしょうか?
岸田:新卒で初めの会社は、Ciscoなどのネットワーク機器を中心にネットワーク構築やソリューション提案をするネットワークインテグレータに入社し、3年間ほど従事しました。センサーネットワークのソリューション提案や、Juniper Networksといった海外のネットワークベンダと次世代ネットワークの研究開発などを行っていました。また気象センサを用いて初霜予測をして農作物の被害を抑えるという、AgriTechの先駆けのようなこともしていました。これはちょっと当時としては早すぎましたね。(笑)
ー確かに、今でも難しそうですね(笑)そこから、グリー株式会社(以下、グリー)へ転職されたとのことですが、どのような経緯だったのでしょうか。
岸田:1社目での経験から、求められる技術やサービスは時代とともにすごい早さで変わっていくんだということを肌で感じました。また、インターネットサービスはインフラ技術とアプリケーション技術が伴って初めてビジネスとして展開できるということを改めて感じ、双方の技術スタックを学びつづけることの重要性を学んだ気がします。
そんな中、世の中に普及した携帯電話向けのSNS事業を展開していたグリーは、トラフィックも多く技術的にもサービス的にも学べるものが多いと思ったんです。また高校生の頃からの夢である、大勢の人が使うサービス作りに携わりたいとグリーに入社しました。
グリーでは、サービスづくりの基礎である数値の組み立て方や見方などの分析面を現エブリーのCEOである吉田大成さんに叩き込んでもらいましたね。それをベースに、その後、教育・福祉、金融・保険、MaaSなど様々な分野でサービスづくりノウハウを生かさせてもらっています。
ITで福祉・教育の分野に寄り添ってきた
ーその後、SNS・ゲームから福祉・教育といった全く違う領域へチャレンジされたんですね。
岸田:グリーでは幸いにも「身近な人に使ってもらえるサービスを作る」という高校時代からの夢が叶い、今度は一人の問題を解決できるようなミッションクリティカルな仕事をしたいと思うようになりました。株式会社LITALICO(以下、LITALICO)は、今まで経験してきたインターネットビジネスとは全く異なる障害者福祉や教育という事業分野ですが、ゲームで培ってきた知見や技術を用いることで福祉・教育の領域にも「楽しさ」を提供できるのではないかとチャレンジを決めました。また、プライベートでも子供が生まれ、教育分野をより身近な課題として捉えるようになったのも要因の一つですね。
CTOとして入社したのですが、福祉の現場の先生方からものすごい量の欲しいツールや困りごとがリストアップされていて、前職とは仕事の進め方が全く違うのではじめは戸惑うことも多かったですが、一方で可能性をとても感じました。先生方と課題やニーズ感を一つ一つ議論しながら、ユーザーの課題、現場の声に真摯に向き合い作り続けたことで、日本だけでなく世界中で使っていただけるサービスも作ることができ、課題感の高いサービスは万国共通なのだと学ぶいい経験になりました。
こうしたネットサービスが未開拓な領域にテクノロジーを融合させることは、はじめは難しいかなと思っていたのですが、チャレンジすると業界に変革をもたらす実感を感じ、エンジニアとして取り組む価値が非常にある業界だなと感じました。
ーその後、ウェルスナビ株式会社(以下、ウェルスナビ)へ転職されたのも、こうしたテクノロジーの融合という視点が反映されていらっしゃるんでしょうか。
岸田:そうですね。福祉や教育の分野で仕事をすると、実態はお金がなくて必要なサービスを受けられなかったり、お金にまつわる課題も多くあることも感じました。時代が大きく変化しライフシフトや人生100年時代などと言われる一方でどのように人生を設計していくか、お金に縛られず自分のやりたいことを実践できるためのサービスって意外に少ないなと感じ、金融の領域もテクノロジーを融合することでより多くの人が遭遇する課題を解決できるサービスにしていきたいと思ったんです。
ウェルスナビでは、CPOとしてサービスグロースや人生100年時代に向けたライフプランサービスを作成するなどプロダクト全般、組織づくりや人材育成まで幅広く携わりました。
子育ての課題に新たな解決策を
ーこれまで、ゲームから福祉・金融まで様々な分野に携わってみて、いかがでしたか?
岸田:様々な分野に携わってみて、業界ごとに課題は大きく違うので、自分自身の引き出しをたくさん増やす必要があるなと思っています。ジャンルが変わるたびに都度勉強をしています。共通するのはプロダクト開発という軸はあるのですが、利用されるユーザーさんはそれぞれに異なるため、様々な知識やスキルを身につける必要があると痛感しています。世の中にはいろんな世界があるのだなという新しい発見もありますし、とても刺激を感じながらいつもプロダクト開発に携わらせてもらっています。
ーそんな岸田さんがエブリーに転職された理由はなんだったんでしょうか?
岸田:プロダクトにフォーカスした仕事でスキルを磨き続けたいなと常日頃思っているのですが、エブリーのプロダクトのUIを含めて完成度が高いなと興味を持ち、話を聞きに行ったのがきっかけです。そこで、『MAMADAYS』が目指す方向性に共感しました。
『MAMADAYS』は、家族や社会全体で子育てを支援できるようなサービスを目指しています。私自身、実際に子育てをしていて様々な場面で選択肢の少なさや不便さを感じていました。育児の領域は課題がたくさんある分野だと思いますし、テクノロジーが融合することで新たな解決策を提示できれば、たくさんの人の生活が変わる可能性があります。以前働いていたLITALICOでやり残してきたこともありますし、教育分野での経験を生かせるのではないかと考えています。身近な人に「このサービスがあって助かった」と言ってもらえるものを作り続けたいんですよね。
関連記事:営業から事業部長へ!メンバーがサービスとともに成長できるような組織にしたい!と語る『MAMADAYS』事業部長のこれまでとこれから
ー入社されてみて『MAMADAYS』はどんな印象ですか?
岸田:『MAMADAYS』のチームメンバーはポジティブな人が多く、働いていて気持ちがいい環境だと思いました。プロダクトを作る過程では当然大変なことも多いと思うのですが、ポジティブに頑張っていればいつかは成功するものです。いくつかのプロダクトチームで働く中で、そのようなチームを作ることが最も難しいことだと感じていたので、その土壌があるのは素晴らしいなと思いましたね。このメンバーでプロダクトを成長させていくことはとても楽しい経験になるのではないかという期待を持っています。
また技術的観点からも、データや数字が非常に多く分析しやすい環境が整っています。分析する中ですでに現在の課題が明確に見えてきたので、一つずつ改善していきたいと思っています。
育児×テクノロジーで身近な課題を解決する
ー現在は『MAMADAYS』でどのような業務をしていますか?
岸田:今はApp User Growthグループの一員としてプロダクトマネージャー(以下、PdM)をしています。いかにしてサービスをより多くの方に使ってもらえるか、どういう機能があれば生活がもう一歩楽になるかということを考えています。
いくつかプロダクトマネジメントをやってみて思うのが、一般的に「グロース」という言葉はよく使われますが、社会課題を解決していくサービスではグロースという意味は「見つけやすくしてあげる」という視点と言いかえることができると思います。『MAMADAYS』のユーザーであるママ・パパたちは目の前の育児だけでも大変です。感じている不便さを解消するための情報を探して、やりたいことがしっかり実現できるアプリをインストールするのは実はハードルが高い。そこを辿り着きやすくしてあげること、シンプルにして使いやすくしてあげることもPdMのミッションだなと思っています。
ー単純に広告を出稿すればいいということでもないんですね。
岸田:認知とともに使ってもらうというハードルを超えるためには、作り手としてユーザーさんの視点に立って設計することがとても大事で、そこにイノベーションの余地は多分にあります。日常生活の中でどういう風にしたら自分たちのアプリを使いたいと思ってスマホを手にとってもらえるか、アプリを起動してもらえるかなど、生活のリズムの中で使ってもらえるプロダクト設計をしていければと思っています。また困りごとの高い項目に対して、どういったところを強化した方がいいということも含めて、ユーザーさんに寄り添いつつロジカルに組み立てていきたいと思っています。
ーこれから岸田さんが『MAMADAYS』のPdMとして、目指していくところをぜひ教えてください。
岸田:「育児×テクノロジー」とライフワークでもある「生活に身近な課題を解決する」この2軸を実現させていきたいと思っています。
今までは組織を作っていくところから関わることが多かったですが、『MAMADAYS』には既にその土壌があります。ニーズが高いところにサービスを作り、世の中に見つけてもらって、使い続けてもらう。サービスとしてしっかり成功するところまでコミットしていきたいですね。そして、「子育てを通じて喜びと幸せを感じられる社会に」という『MAMADAYS』のビジョンを実現し、社会に貢献できればと思います。
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