2021年に入り、エブリーでは男性従業員の育休取得率が100%になりました。産休・育休取得に向けてエブリーで取り組んでいることを人事担当者に聞きました。
数原 隼平
コーポレート本部 人事部 人事グループ リーダー
新卒で株式会社セブン銀行に入社、金融機関向けの営業を経て経営企画部門を担当。その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスへ出向しデジタル戦略事業等に携わる。2019年1月エブリーに入社。経営企画を担当した後、2020年7月から人事として制度設計や労務を担当。
※なお本記事はその内容の性質上、性別記述箇所が複数回登場しますが、いずれも戸籍上の性別に基づく法律上の男女/夫婦を意味しています。
男性従業員の育休取得の課題とは
ー最近、エブリーでは育休産休の取得しやすい環境に向けて様々な取り組みを開始していますよね。
数原:そうですね。家事・育児を夫婦でシェアしながら共働きをする家庭が増えていますし、働き方はどんどん多様化してきています。エブリーとしても女性の仕事への参画、男性の家事・育児への参画を促したいと考えています。
ー今年の6月には「育児・介護休業法」も改正され、来年の4月から段階的に施行されることが決まっていますよね。男性の育休取得を推進するためには、どういった課題が挙げられるのでしょうか?
数原:厚生労働省が発表した令和元年度雇用均等基本調査では、令和元年(2020年)度の育児休業取得率は、女性が83.0%あった一方で、男性は7.48%でした。一般的には「職場に取得しにくい雰囲気がある」「一度に長期休業するのが難しい」などの周囲に迷惑をかけられないという気持ちが、男性の育休取得を妨げる要因となっていると言われています。
社内でヒアリングをしているとそれらに加えて、「そもそも取得できることを知らなかった」「休職中、周囲に迷惑をかけてしまう」「同じ仕事に復帰できるか不安」「育休中に収入が減ってしまう」などの不安を抱えていることがわかりました。エブリーでもこれまで育休を取得する男性従業員はいましたが、年に1〜2件、数日単位であるかないかという程度でした。
そこで、社内で産休・育休に関する情報発信を強化したところ、数日から月単位の取得まで様々ですが、7月15日までにお子様が生まれた6名の男性従業員全員が育休を取得され、取得率は100%*を達成しました!
* 2021年1月1日から2021年7月15日現在までの半年間に配偶者が出産した男性が対象で、2021年7月15日までに育児休業を開始した割合を示しています。
※対象は正・契・アルバイトです。
社内報で産休・育休に関する情報を発信!取得しやすい環境を構築
ー具体的にどんなことに取り組んでこられたのでしょうか。
数原:まずここ数年で事業拡大に伴い従業員が増え、ライフイベントとしてご家族が増える20代後半〜30代のメンバーが増加したという前提があります。
そうした従業員が増える中で、人事制度について理解してもらうこと、少しでも安心して制度を活用してもらうこと、取得して良かったと感じてもらえるような環境や風土を醸成していきたいと考えていました。そこで、昨年から広報と連携し社内報を活用して産休・育休に関する情報を全従業員に向けて積極的に発信しています。
数原:まずは、人事から産休・育休制度や取得の流れについて詳しく説明する記事を展開しました。「産休・育休の取得条件から取得する際の注意事項」、「取得中のケアとしてやっていること」、「エブリーが加入している健康保険組合の手当てについて」などを分かりやすく紹介しています。取得時のサポートは意外と知らない従業員が多いので、そこの不安を解消すること、会社が取得への支援を行っていると知ってもらうことが何よりも大事だと考えています。
さらに、産休・育休を実際に取得したメンバーへのインタビュー記事も公開しています。具体的には、「取得しようと思ったきっかけ」「取得するときにはどんな不安や課題があったか」、「実際に取得してみてどうだったか」「育休中どんな過ごし方をしてたか」「取得後のワークライフバランスの工夫や、アドバイス」「エブリーへの更なる要望」などを話していただいています。今年に入ってからは男性の育休取得者へのインタビュー記事も多く公開されていて、先輩ママ・パパへ相談しやすい雰囲気を醸成していきました。
実は、メンバーだけでなく部長やマネージャーなどのマネジメント層が育休を取得しているケースが多いんです。働きやすい環境を考えるマネジメント層が自ら実行していることで現場の理解が進み、産休・育休の取得しやすい環境になってきていると思います。
ーそうですね!実際に取得された方の”生の声”は社内の反響も大きいですよね。毎月行われる全社会議の「FEM」やオウンドメディアの「every.thing」でも、社内の現状については積極的に共有していますよね。
数原:全従業員が参加する全社会議の場では、社内の現状について社長の吉田からマネジメント職のパパママ比率や、育休の取得状況などが共有されています。また、以前「every.thing」でも公開されていますが「ダイバーシティ&インクルージョン」の取り組みに関連して社内の様々な数値を発信しています。経営陣自らがこうした情報を積極的に発信することで、以前より取得しやすい企業風土が醸成されていますね。
▼参考記事
エブリーのさまざまな数値から読み解く!ダイバーシティ&インクルージョン推進に向けたプロジェクトを開始
ー産休・育休からの復職後はどのようなサポートを行っているのでしょうか?
数原:復職後も引き続き子育てに参加できるよう制度面の整備も進めています。昨年6月から新たにフレックス制度を導入し、現在はコロナ禍のためリモートワークも導入しています。時間や場所に縛られることなく自分のペースで仕事と家事・育児を両立できるよう支援を実施しています。
不安なく育休を取得できる体制に
ー実際に育休を取得された男性従業員にも少しお話を伺っていきたいと思います。丸山さんは『TIMELINE』の広告営業として売上を担う重要なポジションでしたが取得に際して不安はなかったですか?
丸山:私は子供が日々成長し変化していく姿を見逃さないようにしたいなと思った事をきっかけに育休を取得しました。営業としてチームの売上はどうなるのかなという不安はありましたが、後輩たちがこの機会に自分を追い越すくらいに成長してくれればいいなと思っていました。
実際に育休を取得した事で、子供との時間が取れる以外にも妻の日々の大変さが理解できたり、夫婦でお互いのキャリア観についても整理できたりと、時間が生まれる事で得られるメリットは大きいなと個人的には感じました。
ー栗原さんは、当時リーダーとしてチームのマネジメントを担うポジションでしたが、いかがでしたか?
栗原:当時リーダーという役職を任されていたこともあり、そこに穴を開けてしまうことに不安はありました。ですが、マネジメントレイヤーでありながら出産を経験している上司が「その間は私が見るから安心して!」と背中を押してくれたことと、周りのメンバーのサポートもあり安心して取得することができました。
ーファミリー向け動画メディアである『MAMADAYS』ではママだけではなく、家族みんなで子育てができるようサービスを提供していますが、実際に当事者として育休を取得されてみていかがでしたか?
山田:私は普段から業務の中で、『MAMADAYS』のコンテンツやアプリに触れていましたが、育休中は1人のユーザーとして『MAMADAYS』をより細かく使う期間にもなり、ユーザー視点からのサービスに関する理解が深まったように感じます。サービスの作り手側という視点だけでは、気づけなかったポジティブな要素や改善した方がいいなと感じる点が見えてきたのは新鮮でした。
ーエブリーでは、『DELISH KITCHEN』や『MAMADAYS』などライフスタイルに寄り添ったコンテンツを提供しているので、プライベートだけでなく業務にもいい影響を及ぼすことができますよね。今後もエブリーとしてはこうした動きを加速させていきたいですね。
数原:はい。8月以降も取得を希望している男性従業員が多くいます。人事としては「制度だから取得してください」ではなく、取得したい時に不安なく育休期間を過ごしてもらえるような環境構築が大事だと思っています。
不在期間の業務の調整や制度面のサポートはまだまだ課題がありますが、取得しやすい環境や雰囲気の醸成は出来つつあります。職場のメンバーの理解あってこそ成立する育休取得ですので、引き続き経営層やマネージャー陣から理解を深め、しっかりサポートできる風土と体制を作ることに力を入れていきたいですね。