コロナ禍により社内コミュニケーションが希薄化しやすい状況ですが、エブリーではクロスメンター制度「サシマネ!」を実施し、社内で気軽に相談できる人間関係を構築していけるよう社員間の交流を促進しています。直属の上司との1on1や部門内のチームビルディングだけではなく、あらゆる部署の先輩や経営陣とサシで対話できる「サシマネ!」が立ち上がった経緯や、実際にどんな話をしているのかといった具体的な内容について、詳しく伺いました!
菅原 千遥
取締役 執行役員 DELISH KITCHEN カンパニー長
2012年慶應義塾大学を卒業後、グリー株式会社に入社。事業責任者として女性向けネイティブゲームに従事し、その経験を活かし戦略部門にて子会社や投資先会社の事業管理基盤構築を推進。その後、新規事業の立ち上げを主導。2015年9月、株式会社エブリーを共同創業。レシピ動画メディア『DELISH KITCHEN』を立ち上げ、2018年に執行役員に就任。2020年、取締役 執行役員に就任。
若手メンバーが活躍していくには?
ーなぜ、この「サシマネ!」が開始されたんでしょうか。社内にはどういった課題がありましたか。
菅原:エブリーでは、半期に1度全マネージャーが集まるマネジメント合宿を開催し、全社の課題についてさまざまな議論をしています。女性の活躍やダイバーシティについてディスカッションしていたのですが、そこで課題の1つになっていたのが若手のメンバーにどう活躍していってもらうかということです。
ー若手メンバーの活躍における課題点はどんなことだったのでしょうか。
菅原:多様な働き方が求められる中、社内のキャリアパターンが見つからず退職してしまったり、マネージャーに相談しても、マネージャーも1つのキャリアしか歩んできていないので、最適な提案ができていないなどの課題が挙げられました。
以前から、メンバーとマネージャーのコミュニケーションとして1on1を導入していますが、直属の上司だと仕事ベースで話をしてしまうということも多いと思います。ライフスタイルも含めてキャリア形成だと思うので、プライベートなども気軽に相談できるような環境をエブリーでも作っていきたいという話が出ていました。
ー多様なキャリアの選択肢があると知ることができれば、自分にとって最適なものが見つかりそうですね。
菅原:そうですね。そもそも自分のキャリアについて時間を取って考えるということをしたことがないメンバーもいるかもしれませんし、考えてみてもなかなかイメージができないというメンバーもいるかもしれません。なので、まずは社内でどんなキャリアを歩んでいる人がいるのか、社内にどんな仕事があるのかもっと知ってもらう機会を作ろうというのが私たちの出した結論です。
【課題】 ・社内でロールモデルとなるキャリアパターンが見つからない ・マネージャー側にも情報が不足している ・直属の上司だと業務ベースの話になりやすかったり、話しづらいことも。 →まずは複数のマネージャーと話してもらう!クロスメンター制度「サシマネ!」導入! |
ーそこで解決策の1つとして、「サシマネ!」を導入したんですね。
菅原:はい。自身のキャリアを描いていくためにも、社内で成長してくためにも、キャリアの選択肢を増やすためにも、さまざまなマネージャーと話ができるクロスメンター制度を設置することにしました。
ー具体的な制度の概要を教えてください!
菅原:これまで上司の方と1on1をしてきてもらっていますが、昨年10月より若手のメンバーを対象にキャリアや精神的な仕事の悩み、人間関係のサポートを目的に直上以外のマネージャーと話せるクロスメンター制度を設置することになりました。
【サシマネ!概要】 ※メンターはマネージャー以上が対象 |
ー半年ごとにメンターを選べるんですね。
菅原:そうですね。たくさんのマネージャーから話を聞いてもらうことが目的の1つとしてあるので、機会は多く設けたいと思い半年で設定しています。もちろん、継続してもらうことも可能ですよ!
ーちなみに、この「サシマネ!」の名称の由来は…?
菅原:クロスメンター制度という名称がちょっとかたい…ということで、”サシでマネージャーと話せる!”という意味で、この「サシマネ!」という名称をプロジェクトチーム内で決めました。この制度をカジュアルに感じてもらい、気軽に話せる関係性を築いてほしいですね!
経営層ともサシで話せる!VUCA時代のキャリア形成の考え方とは
ーメンターとなる方々には、役員やCTO、CEOの方々は含まれますか?
菅原:メンターにはマネージャー、部長など経営陣はもちろん、CxOなどの役員陣や社長まで含まれていて、希望が通れば新卒1年目でも1対1で話すことができます。
また、個人の悩みは他の誰かと共通した悩みであることも多いです。みなさんがどんなお話をしているのかや、有益な情報の共有のため、社内報で「サシマネ!対談」という形で一部を記事化させていただいています。そこで、自分のメンター以外の先輩や経営陣がどんな考えを持っているのか、垣間見ることもできます。
ー具体的にどんなお話をしているのでしょうか?CEOの大成さんをメンターとしてサシマネ!を行った人事の飯嶋さんに伺いたいと思います。
飯嶋:ちょっとした雑談から、「最近手応えが掴めない」といった個人的な仕事の悩みや、会社全体の方針についてまで、日によってさまざまなことをお話しています。例えば以前、キャリアの考え方について伺ったことがあります。
(以下、社内報より内容をご紹介します!)
飯嶋:キャリアとは何でしょうか?
吉田:キャリアとは「40代、50代になっても自己実現のための選択肢が常に複数ある状態を目指すこと」です。その為のキャリア形成とは、計画的偶発性理論の行動特性に基づいて行動しつづけること。
飯嶋:「計画的偶発性理論」とはどういった考え方なのでしょうか?
吉田:偶発的な出来事への対応や、そのような出来事を引き起こすような行動を取る事が、結果的にキャリアを広げるという考え方です。
ビジネスや社会全体において、将来の予測が困難な”VUCA時代”であると言われる現代では、終身雇用で1つの会社で1つの職種を全うする時代ではなくなっています。技術もビジネスも時代と共に変化が激しく、求められる知識やスキルは年々変化します。
やりたい事に固執することなく、偶発的な機会に対して幅広く行動をし続けることが新たなチャンスを生み出しキャリアを広げていきます。20代前半で同世代より成果を出した方が、20代後半から30代前半で失敗を恐れて冒険心がなくなったり、強みを活かしたいということで、今出来ることに業務を絞ることで好奇心の範囲を狭めてしまったり、過去のやり方に固執して柔軟性を失ったりなどは、少しもったいないなぁと思ったりします。計画的偶発性を起こす行動特性として5つ紹介します。
・好奇心(Curiosity):新しいことに興味を持ち続ける
・持続性(Persistence):失敗してもあきらめずに努力する
・楽観性(Optimism):何事もポジティブに考える
・柔軟性(Flexibility):こだわりすぎずに柔軟な姿勢をとる
・冒険心(Risk Taking):結果がわからなくても挑戦する
漠然とした目標はあっても良いですが、固執しすぎない事が大事です。
なので、キャリアとは何か?と問われたら、「40代になっても50代になっても自己実現のための選択肢が常に複数ある状態を目指すこと」になります。そのためのキャリア形成としては、「計画的偶発性理論の行動特性に基づいて行動しつづけること」かな。
飯嶋:確かに、エブリーで活躍されている方はこのような概念を持ってる人が多いですよね。ちなみに、大成さんはどの程度自分の意思でキャリアを積んでこられたんでしょうか。
吉田:僕も1度も自分で選んだことはないです。もともとエンジニアでしたが企画部門に行ったのも会社の都合です。でも、自分で選ぶと自分でできることしか選ばなかったかもしれないので、自分の知らないことを知る事ができて結果としてはよかったと思っています。
飯嶋:なるほど!!参考になるお話をありがとうございました。
どんな人でも活躍できる会社へ
ーみなさんうまくご活用いただけている印象ですが、「サシマネ!」1タームごとに実施しているアンケート結果ではどのような意見が多いですか?
菅原:日頃から関わっている所属チーム内の視点だけではなく、社内の異なるチームの視点から客観的なアドバイスをもらえたり、相談に乗ってもらったりすることができる点に対して評価いただける意見が多かったです。
また、選択式のアンケートでは「とてもよかった」が69.6%、「どちらかと言えばよかった」が30.4%と100%好意的な結果となりました。
アンケート結果記載(一部抜粋)
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ー最後に、改めてこの「サシマネ!」制度をどのように活用してもらいたいですか?
菅原:まずは、キャリアや人を知るきっかけになればと思います。職種関係なく、気軽に使ってもらえれば嬉しいです。情報・サンプルを集める、また社内の友達を作るくらいの感覚でもいいと思います。キャリアの面でもプライベートの面でも、どんどん聞いてもらいたいです。
今回はこの「サシマネ!」についてお話ししましたが、今後もダイバーシティをはじめ様々な課題について社内で議論をしています。若手でもベテランでも、どんな人でも熱意のある方が活躍できる会社を目指して制度を作っていきたいと思います。