ミスはチャレンジの証!ノウハウを共有して再発を防ぐ、エブリーのリスクマネジメントとは
エブリーは、社会に信頼されるメディアづくりを第一の使命と考え、コンテンツのチェックやフロー、ルールを外部の有識者とともに整備するなどのアドバイザリーボード活動を積極的に実施しています。今回は、社内に設置されている「リスクマネジメント委員会」が推進する、お客様に安心安全にサービスをご利用いただくための取り組みやそれらを社内に浸透させるためのルール策定や啓発活動について、話を聞きました。
作花 慎一
TIMELINEカンパニー サービスグロース部 カスタマーエクスペリエンスグループ マネージャー
2007年より株式会社Bellsystem24にて、大手ECのテクニカルサポートやWeb広告審査のSV、BPOなどを経験。2011年にグリーへ入社し、内製/Pub含めた十数のゲームタイトルCSを担当後、品質管理部門を立ち上げアプリ審査、企画審査を統括。2017年、エブリーに入社し、リスクマネジメント委員会、DELISH KITCHENのカスタマーエクスペリエンスを主導。2022年から新たにTIMELINEカンパニーのカスタマーエクスペリエンスの立ち上げに従事。
エブリーのリスクマネジメント体制について
ーまず、当社のリスクマネジメント体制について教えてください。
作花:代表取締役社長直下に「リスクマネジメント委員会」を設置しており、エブリーが健全に事業を発展させるための課題やコーポレートガバナンスの検討、お客様に安心安全に当社サービスをご利用いただくための取り組みやその方向性についての議論、それらを社内に浸透させるためのルール策定や啓発活動を実施しています。
さらに、当委員会で提起された課題や対策について、さまざまな専門領域に精通した外部有識者で構成されたアドバイザリーボードを設置し、意見を得ています。
ー社内で議論するだけでなく、社外の有識者も交えて議論しているんですよね。例えばどんな議論をするのでしょうか?
作花:直近は障害対応フローについてご相談させていただく機会がありました。エブリーでは、例えばレシピ通り作ったのに失敗してしまったなどコンテンツの問題や、サービスが使えないなどの不具合が生じた際、その影響の大小に関わらず障害として報告し、解決するためにリスクマネジメント委員会が主導して障害対応を行っています。障害ランクごとに対応フローは異なりますが、発生した障害について迅速に報告・共有するような仕組みづくりを行ってきました。
それ故に、全社チャットで障害報告をすることは不特定多数の従業員に向けて自らのミスを発信するかのようで精神的に辛いと感じる、障害を起こしたくないという気持ちから新たなチャレンジがしにくい、などの声も上がっていました。そこでヒヤリハットの報告を細かに行っている医療業界における仕組みや考え方などを、アドバイザリーボードにご協力いただいている慶應義塾大学 医学部 小児科学教室 教授の高橋孝雄先生にご相談しました。
ー「ヒヤリハット」とはなんですか?
作花:ヒヤリハットとは、厚生労働省兵庫労働局では「危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のこと」と定義されています。仕事中に「ヒヤリとした」、「ハットした」という出来事が起こったものの、結果として重大な障害の発生までは至らなかったケースです。
ーなるほど。全く違う業界ですが、どのようなアドバイスをいただいたんでしょうか?
作花:医療の世界では、業界全体で医療ミスを防ぐために、現場におけるヒヤリハット件数を監督官庁にも報告するそうです。20年以上前からこうした取り組みを行い「ヒヤリハット(ミス)は自ら申告するものである」という風土が定着していったということでしたが、何よりも大事なのは、人は間違いを犯すものであり、報告者を決して責めないこと、むしろ報告しないことが問題という考え方を徹底していくことだとアドバイスいただきました。
そのほかにも、管理部が一緒になって解決するというスタンスで、ミスを起こした当事者を決して責めない、当事者による即時対応の後は組織として解決、再発防止策の立案を行うことなど、業界は違っても参考にできることがたくさんあります。こうした考え方はエブリーのリスクマネジメント委員会としても大事にしてきたことですが、社内にさらに浸透させていくための施策の必要性を感じました。
ミスはチャレンジの証!そのノウハウをいかに活用できるか
ー最近、新たに全従業員向けのインシデントシェアのSlackチャンネルが作られましたが、これはその取り組みのひとつということですね!
作花:そうなんです。従来は障害が発生した場合、まずは各カンパニー・各本部ごとに設置されているチャンネルへ報告してもらい、障害ランクごとに対応を行ってきました。センシティブな内容も含まれるため、クローズドな環境で共有されてきました。
今回、新たに設置されたチャンネルは、発生した障害についての“ノウハウ”を全社へ横展開することで再発防止に役立てることを目的にしています。それぞれの障害ランクごとの対応フローの最後に再発防止策を共有していただいています。
ー全社共有するメリットはどういったところにあると思いますか?
作花:例えば『DELISH KITCHEN』で起きた障害は『MAMADYAS』や『TIMELINE』など他のメディアでも起こる可能性があります。カンパニー単体でノウハウを閉じてしまうことは、とてももったいないことなんですよね。複数メディアを運営しているエブリーだからこそ、このチャンネルを活用しノウハウをシェアしてエブリー全体の再発防止に役立てていければと思っています。
ー報告に対してネガティブな印象を持つメンバーには逆効果ではないんですか?
作花:当事者の方は、障害報告をすると聞くと少し後ろ向きな気持ちになってしまうかもれませんが、ミスはチャレンジの証!新しいことにチャレンジしていればミスは必ず起きてしまいますし、ゼロにはできません。また、共有してもらうのは発生した障害についてではなく、その“ノウハウ”についてだけです。報告者も、本人ではなく組織運営を行う部長陣に行ってもらうことで対応しています。
そして、高橋先生とお話した時にもあったように、基本的にミスの原因は個人ではなく組織にあります。ミスをすることより、ミスを報告しないことにより同じような障害が再発してしまうことの方が、組織にとってはマイナスです。そういった前提を従業員のみなさんにしっかりお伝えした上で、発生した障害についての“ノウハウ”を共有してもらい、根本的な課題解決を目指しています。
再発防止によって、事業の成長を加速させたい
ー隠したり晒したりするのではなく、意味ある形で次へと展開することが重要ですよね。今回は、リスクマネジメント委員会の活動の一部について伺いましたが、目指すところを教えてください!
作花:先ほどもお話しましたが、ミスをゼロにすることはできません。そうしたミスもエブリーでは新しいことへチャレンジした証と考えています。障害発生時は、我々リスクマネジメント委員会も一緒になって再発防止策を議論しますので、会社として、組織として、個人を責めるようなことはありません。
私は、リスクマネジメントを通じて事業の成長に貢献できるよう協力していきたいと考えています。根本的な課題解決をはかり、事業をさらに加速させていきたいですね。
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