黒﨑 嘉子先生に学ぶ、食中毒の現状。食の安心・安全を守るための『DELISH KITCHEN』のコンテンツ制作体制を公開!

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エブリーは社会に信頼されるメディアづくりを使命として、コンテンツのチェックやフロー、ルールを外部の有識者とともに整備するなどのアドバイザリーボード活動を積極的に実施しています。今回はアドバイザリーボードの1人である黒﨑先生をお招きして、私たちの身近にある食中毒の予防についてお話しいただきました。
また、安心・安全な食コンテンツを発信し続けるための『DELISH KITCHEN』のコンテンツ制作体制もご紹介いたします。


黒﨑 嘉子先生
公益社団法人日本食品衛生協会
公益事業部公益事業課 技術参与


はじめに

エブリーは社会に信頼されるメディアづくりを使命として、コンテンツのチェックやフロー、ルールを外部の有識者とともに整備するなどのアドバイザリーボード活動を積極的に実施しています。また、その中で関わりのある有識者の方をオフィスへお招きし、社内講演会を開くことで実際の業務に携わるメンバー1人1人の幅広いインプットを支援しています。

アドバイザリーボードの1人である黒﨑先生には、ユーザーに安心・安全にサービスをご利用いただくため、食コンテンツに関するガイドラインの策定や、安全に料理を実施するための啓発活動、食品の保存期間に関する基準の策定など、食品衛生の観点でお力添えいただいております。

私たちの身近にある食中毒の現状

黒﨑:平成15年から令和4年のデータを見ると、食中毒の発生件数、患者数は共に減少傾向にあります。令和2年頃からは、コロナウイルスの流行によって飲食等に出向くことが少なくなり大きく減少しましたが、直近では発生件数が再び増加してきているので注意が必要です。

黒﨑:食中毒と言っても、原因となる病因物質は様々。病因物質別に発生件数を見ると、ここ数年はアニサキスという寄生虫による食中毒の発生が一番多くなっています。2位はカンピロバクター、3位はノロウイルスと続きます。
また、発生場所別に見ますと、令和4年は飲食店が39.5%と一番多く、次いで家庭が13.5%でした。家庭での発生件数の59%がアニサキス、23%が植物性自然毒を原因とする食中毒です。

家庭での発生件数が多いアニサキス食中毒はサバ、アジ、イワシ、サンマ、ヒラメなど、多くの海産魚類が原因食品です。内臓の速やかな除去が重要ですが、-20°C以下で24時間以上の冷凍や、60°Cの加熱で1分間、70°C以上の加熱であれば瞬時にアニサキスを死滅させることができます。
家庭での対策としては、まずは調理時に目視確認をすることです。アニサキスは目で見える大きさですので、白い糸のようなものがついていたらアニサキスと疑って処理しましょう。

もう一つ、植物性自然毒の発生原因は、誤って自然毒を持った植物を食べてしまうことです。対策としては、山菜取りに行った時は食用と見分けられないものを採らない、食べない、売らない、人にあげないことです。また、野菜などの食用植物と毒を持つ植物を一緒に栽培しないこと、植えた覚えのないものは食べないことを徹底してください。お子様や高齢者が誤って食べてしまうことが多いので、周りの方がしっかり注意してみてあげてほしいです。

食中毒予防の3原則のポイント

黒﨑:食中毒予防の3原則は、「つけない」「ふやさない」「やっつける」です。

「つけない」
細菌をつけないためには、まずは調理台や、調理器具を清潔にすることです。食材が触れるところは全て清潔にしておくのが基本。食材の衛生管理としては、生で食べる野菜はカットしたものであっても十分に洗います。肉や魚には食中毒菌が付着していることが多いので、包丁やまな板は「生で食べる野菜」「加熱する野菜」「肉や魚」の順番でその都度洗って使用できるといいですね。肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて、使い分けるとさらに安全です。

手洗い自体もこまめに行うことが大切です。工程が変わるごとに十分に洗い、盛り付け前まで抜かりなく清潔にしましょう。また、冷凍してある食品を解凍する際、室温で解凍すると食中毒菌が増える場合があります。冷蔵室に移して解凍する、電子レンジで解凍する、流水で短時間に解凍するといった方法がおすすめです。

「ふやさない」
次に、細菌を増やさないための冷蔵・保存のポイントをご紹介します。
容器については、空気に触れないようにして密封すると食中毒菌の侵入や酸化を防ぐことができるので、口がしっかりと閉まるチャック付き保存袋がおすすめです。保管容器についても、フタやパッキン等は溝の部分に汚れが溜まりやすいので注意が必要です。できれば熱湯消毒をするなど、できるだけ清潔にしてください。

保存のポイントは、「水分を避けること」です。水分は細菌の増殖には必須であるため、汁気がなるべく少なくなるように仕上げます。生野菜を洗った際も、キッチンペーパーで水気を拭き取りましょう。料理が熱いうちに容器に入れると、水蒸気が水滴となり容器のフタなどに付着します。料理に熱がある場合は、十分に冷ましてから容器に詰めましょう。

「やっつける」
最後に、「細菌をやっつける」ための調理法は、十分に加熱をすることです。冷蔵庫に保管していた料理を再加熱する場合も、十分な加熱を行ってからお召し上がりください。多くの細菌が死滅する目安は、食品の中心温度が75℃以上を1分間以上キープした状態とされていますが、調理用の温度計がないご家庭も多いため計測するのは難しいですよね。基本的にはレシピに記載してある通りに加熱をしていただき、肉や魚などは中に火が通っているか、実際に見て確認をしていただけるとよいと思います。

安心・安全な食コンテンツを発信し続けるための『DELISH KITCHEN』のコンテンツ制作体制とは

菅原:『DELISH KITCHEN』で発信している情報は、ご利用いただくユーザーの「食」や生活自体に深く関わることから、安心・安全に配慮したレシピ開発、コンテンツ制作を行っています。料理の成功体験に必要なものは、「安心・安全」であり、「失敗しない」レシピだと考えています。調理工程が適切であり、衛生面も考慮され、誰が作っても失敗しないように工夫されたレシピを届けていきたいと考えています。

斎藤:そのために、3つの組織を設けてそれぞれの観点からレシピの品質管理をしています。
まずレシピ制作については、管理栄養士など食のプロであるフードスタイリストが考案・撮影をしています。全レシピが管理栄養士監修で、1つのレシピ動画ができるまでにおおよそ300以上のチェック項目を通しています。法令チェックや表記・品質のチェックはもちろんですが、栄養価、衛生面、事故防止などさまざまなカテゴリごとにルールを定め、品質の維持に務めています。

コンテンツ品質分科会(食セグメント)では少し大きい枠組みでレシピのルールやリスクの管理をしています。この組織には、『DELISH KITCHEN』で衛生管理の担当をしているフードスタイリストや、お客様対応を行うCXのリスク担当者などがメンバーとして参加しています。社内のみならず、外部有識者の方をお招きして定例会を実施しています。

菅原:外部有識者の方との連携については、エブリー独自で「アドバイザリーボード」を定期開催しています。当社の展開事業に関連する領域、具体的には食品衛生、調理学、発達心理学、小児科、マタニティ、コンプライアンスなどの領域に精通していらっしゃる外部有識者の先生方にご協力いただき、メディアコンテンツの作り方、社内体制のあり方など幅広い事例についてレビューをいただいています。写真左から
取締役 執行役員 DELISH KITCHEN カンパニー長 共同創業者 菅原 千遥
DELISH KITCHEN副編集長 斎藤 香織

『DELISH KITCHEN』は、「おいしい楽しい「食事」と「健康」をすべての人に」のミッション実現のため、これからも安心・安全なコンテンツを発信し続けてまいります。

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