
2025年4月、CEOの吉田より「AIファースト・カンパニー」を目指す取り組みについて話がありました。社内向けに発信された内容の一部を公開します。
すでに皆さんも感じていると思いますが、近年のAIの進化は私たちの働き方や価値創造の在り方そのものを根底から変えようとしています。この変化は「起きるかどうか」でも「いつ起きるか」でもなく、すでに起きています。そして一過性のブームではありません。スマートフォンやクラウドが私たちの生活や働き方、そしてビジネスを変えたように、AIは今後の標準になります。
AIは、単なる業務効率化ツールではありません。アイデアの発想、試作、意思決定、顧客体験の向上など、あらゆる領域で私たちの力を増幅してくれる存在です。デリッシュキッチンにおけるAI料理アシスタントもその1つです。1人1人の手の届くところに料理の専門家が日々の食卓をサポートしてくれる体験が初めて可能になりつつあります。 「できなかったことが、できるようになる」「時間がかかったことが、一瞬で進む」そんな未来がすぐそこまで来ています。
だからこそ、私たちエブリーは「AIファースト」の姿勢を明確に掲げ、全員でこの変化を学び、活かしていく必要があると考えています。このような変化のとき、最悪なのは「待つこと」です。エブリーは「動画メディア」「リテールメディア」をはじめとして、新しい領域にどこよりも早く参入してきました。AIにおいてもこの変化を先導していきたいと考えています。
AIファーストな働き方
既にAIを思考のパートナー、リサーチャー、レビュアー、ペアプログラマー、ライター、クリエイターとして使っている人は社内にたくさんいると思います。私もその1人です。それでも、AIの活用はまだ入口にすぎません。
最近は、AIを活用したソロ起業家(共同創業ではない)や少人数チームでのスタートアップの成功が増えています。これは、AI浸透前の企業の仕事の進め方を根本から見直す必要があることを意味しています。多くの人間が関わることを前提として設計された既存のオペレーションに対して少しずつAI対応を進めても、働き方の大きな変化を得る可能性は低いです。多くの場合は、1からAIを前提としたオペレーションを設計し直す必要があります。
再構築にあたり、一時的に品質が落ちること、その品質を保証するために人間が介入する手間がかかること、もしくは再構築するための工数の捻出など、様々な懸念により先送りの意思決定をしてしまっているかもしれません。しかし、AIをたくさん使いながら学ぶことでしか新しい当たり前の働き方は取り入れられません。機会を逃すよりも、多少品質に妥協しながら(人間が補いながら)もスピード感をもってAIを前提とした働き方・オペレーションを選択しましょう。
そして、今このスキルを学ばないと、将来的に取り残される可能性が極めて高いです。2000年前後を境にしてパソコンやOffice製品を使えることが当たり前に求められるようになったように。直近ではCursorをエンジニアとプロダクトマネージャーに導入しましたが、AIの活用を求めるのはエンジニアや一部の職種に限らず「全員」です。AIを効果的に活用できる技術やツールの進化が職種ごとに差はあるかもしれませんが、それでも全員がAIを効果的に使えることが求められます。
AIファーストなプロダクトと顧客体験
働き方と同様にプロダクトやソリューションにおいてもAIによる進化が必要です。
これからの私たちのプロダクトは、AIによって「誰にでも、より最適に、より速く、より深く」届けられるものへと変わっていきます。たとえば、ユーザーごとに最適化された体験を提供するために、AIが行動履歴や文脈を理解し、その人に本当に必要な情報や提案をリアルタイムに届けることが可能になります。その際、私たちが所有する大規模な1st Party Dataは現時点においては優位性になります。
こうした変化は単に「便利になる」というだけではなく、顧客との関係性をより深く、より広く築くことができるプロダクトへと進化させる道筋そのものです。AIによる生成コンテンツの活用、AIによる動的なUIなどのプロダクトの一部に留まらず、AIを前提としたUXに設計し直す必要があります。現時点において私たちが目指すのは、AIによって生まれる ”より人間らしい” 顧客体験です。その領域の専門家として「信頼できる」人間らしさと同時に、「信用できる」や「愛着がある」と表現されるような人間らしさの体験構築に挑戦していく必要があります。
AIの精度の進化の速度は今後さらに加速していきます。新たに開発したAI機能が数カ月後にFundation Model を構築している企業からリリースされる可能性はゼロではありません。それでも、「多くの人が求めるAIプロダクトのUXとは何か?」を見つけ出すことが私たちが挑戦すべきことです。スマートフォンが登場した直後のAppStoreのランキング上位のアプリと現在利用されているユーザ数上位のアプリは全く違っています。スマートフォンならではの顧客体験を追求してきた企業が残ったように、AIならではの顧客体験を追求していきましょう。
完璧で正しい理想像を求めがちですが、現時点においてそのすべての答えをもっている人はいないでしょう。空理空論や机上の空論に留まらないためにも、抽象度の高いSF的な理想像をもとに、短期間で小さく1つずつ、スピード感をもって仮説の検証と修正を積み上げる選択をしましょう。
最後に
AIによって、エブリーという企業も、提供しているサービスも、働き方も、人生そのものも変わっていきます。
私たちがすべての答えを持っているわけではありません。ですが、それで良いのです。これは私たち全員にとって新しい挑戦です。
一緒に、未来を創っていきましょう!
