小売様のネットスーパー事業黒字化に向けて伴走するPMM、PdM、エンジニアに聞く、今この事業に取り組む意義とは
エブリーが提供する小売業向け統合ソリューション『retail HUB』のうちの1つ、ネットスーパー事業。立ち上がりから黒字化の足がかりを掴むまでネットスーパー事業を推進してきたPMM、PdM、エンジニアの3人に、小売様と伴走しながら事業を成長させていく日々の業務と、今後の展望について聞きました。
ネットスーパー需要の高まりに、テック企業として小売DXを支援
ーお話を伺う前に、まずは皆さんの業務を教えて下さい!
加藤:エブリーの『retail HUB』は、小売業向けに統合的なサービスを展開していますが、その中でもネットスーパー事業のPMMを担当しています。各クライアント様と密にコミュニケーションをしながらビジネス戦略の提案を行っています。
森:ネットスーパー事業のPdMとして、営業が提案のベースにするレポートを作成したり、データ分析を元にプロダクトの機能開発を担当しています。データを見て施策が売上にどう貢献したか検証・改善を繰り返しながら運営しています。
大村:エンジニアとしてネットスーパー事業のプロダクトの技術的改善を行っています。また、森さんと優先順位を決めて機能改善にも取り組んでいます。
※PMM…プロダクトマーケティングマネージャー(顧客と向き合いビジネス側からプロダクト仕様を策定したり事業推進を担当する)
※PdM…プロダクトマネージャー(開発から戦略立案までプロダクトの全体統括を行う)
ーみなさんが取り組んでいるネットスーパー市場は、現在どのような市況感なのでしょうか?
加藤:ネットスーパー事業は10年前から進んできているのですが、家の近所にスーパーやコンビニがたくさんある日本では食品EC化率は2〜3%程度に留まっています。かつ、配送コストや人件費、リソースの問題などで黒字化が難しいという認識も業界内にあります。
一方で、ユーザーの意識調査をみると、コロナ禍でニーズが伸長し、消費者のネットスーパー利用に対するハードルも下がって浸透しつつある状態です。若年層だけでなく50〜60代の方も店頭での購買とネットスーパーを併用するユーザーが増えてきています。業界大手各社も今後5〜10年で大きな成長目標を掲げていて、国内だけでも10兆円に近い市場機会があると見立てています。
森:実際、店舗とネットスーパーを併用しているユーザーの利用額は2倍ほどの差があり、併用しているユーザーの方が単価が高いことがわかっています。店舗とネットスーパーを両立させ、多様化する消費者ニーズに応えていける体制を構築していくことが今小売には求められていると感じます。
伴走型のサービスで、ネットスーパー事業を黒字化へ導く
ーそうした中、『retail HUB ネットスーパー』はどのようなソリューション提供をしているのでしょうか。
加藤:『retail HUB』では、単一のソリューションではなく、店頭サイネージをはじめとするストアDX、ネットスーパーや小売アプリなどの店外での顧客接点の創出、CRM強化まで、統合的なソリューションを展開しています。サービス全体として、現在160社以上の小売様に導入いただいています。
森:我々が携わっている『retail HUB ネットスーパー』は、株式会社ベクトルワンと2022年5月に業務提携、2023年10月からは事業・システム移管を行い、本格的に運用を開始しています。『DELISH KITCHEN』の大規模サービスを運営してきたナレッジを活用し、分析基盤の整備から、実際のユーザー分析、それに基づく改善提案など、一緒に事業成長を目指す伴走型のソリューションを提供しています。難しいと言われているネットスーパー事業の黒字化に向けてサポートを行っています。
ーそれでは、クライアントとネットスーパー事業を運営していくときに、具体的にどのように進めていくのか教えてください。
加藤:私はPMMとして事業全体の方針をマネジメントしています。市場を踏まえた戦略立案や営業方針の策定、クライアントに向き合った課題解決などのビジネスサイドの取りまとめや、ソリューションの企画・開発を担当しています。クライアントである小売様がネットスーパーを黒字化できるビジネスとするために、市場の状況を踏まえながら小売の課題解決とその改善に向けて伴走しています。
森:PdMもPMMも目的は一緒で、私はプロダクトサイドからクライアントさんのネットスーパー事業を成長させるためにどうするかを考えています。常にKPIのモニタリングを行い、各データの数値から見つかった課題をどうプロダクトに落とし込むか企画立案しています。戦略上はPMMと連携することが多いですし、日々の開発周りではエンジニアと刻々と変わる状況を共有しながらプロジェクトを推進しています。
大村:エンジニアとしては、事業継承のタイミングでシステム継承もしたので、一部新しいGo言語に書き直し、メンテナンス性や拡張性の高いシステムへと変えるというところに注力してきました。1社1社異なる課題を解決していく必要がありますし、絶えず変化し続けるニーズに応えられるようなアジリティーの高い開発基盤を整えています。
加えて、日々営業のメンバーがクライアントさんから吸い上げてきた要望や事業戦略上必要になってくる新機能の開発などを行っています。森さんとは毎日ミーティングをして最適化を図っていますが、この開発がクライアントさんの売上につながるのかというところはエンジニアとしても意識しながら取り組んでいますね。
ーネットスーパー事業の黒字化に向けた最新の事例についても教えてください!
加藤:沖縄県那覇市を中心にスーパーマーケットを展開しているリウボウストア様は、2021年からネットスーパーを導入し、エブリーは2023年のアプリ版導入から事業を伴走させていただいています。
オペレーション面の課題を現場での観察を通して吸い上げたり、あらゆるデータを元にして解決の糸口を見つけて提案させていただくなどオンライン・オフラインの両面からサポートしています。
森:1年ほどご一緒していますが、利用データをもとにネットスーパーの実態を細かく紐解いていくと、配送コストの課題が浮き彫りになってきました。エリアの広さや混載状況を整理することで配送コストが改善し、黒字化に転じることができる見通しです。
加藤:現在はさらなるGMV向上を目指すために、新たな集客施策も検討中です。私たちもリウボウストア様と一丸となって店頭に立ち、様々なキャンペーンを実施しています。
使命感を持って、『retail HUB』で新しい顧客体験をつくる
ーエブリーのネットスーパー事業が提供できる、他社にはない特徴や強みを教えてください。
加藤:『retail HUB』では、プロダクトのシステムを導入いただいたら終了ではなく、運用面も一緒に伴走してサポートしています。ネットスーパーに即した品揃えの設計、商品管理、ピックパック等のオペレーション、配送の効率化など、あらゆる課題の解決をフルサポートし事業拡大に導くことができることを強みにしています。
大村:プロダクト面でも、利用者数3,000万人を超える『DELISH KITCHEN』からの送客も魅力的なポイントかなと思います。さらに、顧客体験をどうよくしていくかという面でも『DELISH KITCHEN』を運営してきたナレッジをいかして、ユーザー目線でデータをみながらシステム改善を提案、実装できることは、他社には真似できない角度からのサポートだと思っています。
ーやりがいはどのようなところに感じていますか?
森:まずは、社会的意義の高さです。都市化の集中、地方の過疎化、少子高齢化などで消費者の買い物も大変になっていきますし、比例して地方のスーパーも経営が困難になっていきます。ネットスーパーが普及し、経営を牽引できるようになれば、事業者も利用者も困難な状況を変えることができる。今この分野に取り組むことは身近なところだけでなく、日本全体にとって価値があると思っています。
また、PdMとしても果たせる役割が大きいなと実感しています。日々のプロジェクトを推進していく中で、アナログな部分や、PDCAをうまく回せていない現状に対して取り組めることがたくさんあります。やったらやった分だけ反応があるので、そこに醍醐味がありますね。
ーそれでは、今後エブリーのネットスーパー事業が目指していくところを教えてください。
大村:今後は『DELISH KITCHEN』にある5万本以上のレシピの活用も検討しています。レシピに使われている食材をワンタップでカゴに入れられたりできると便利ですよね。ユーザーさんにとっても新しいネットスーパー体験を提供することができると思っています。
森:レシピとの連携ができるとさらに可能性が広がっていきます。データという視点からですと、購買履歴からその食材の利用を促進して次の購買へ繋げていくアプローチも実現したいですね。
加藤:エブリーとしては、将来的には「リテールメディア」としてネットスーパーアプリを活用できるようにしていくビジョンがあります。メディアというとメーカーの広告利用イメージがありますが、小売側は顧客体験向上のツールとして使っていくことができるメリットがあります。
ふたりも言っていたように、まずは小売のみなさまの課題を解決できるツールを提供していき、その先にはメーカー、小売・消費者の両者にメリットがある顧客体験を生み出していきたいですね。
(写真左から)
加藤 杏子
データソリューション本部 リテールハブ事業部 事業戦略グループ
2017年に株式会社昭文社に入社し、「まっぷる」「ことりっぷ」などのガイドブックブランドを活用したプロモーションやコラボ商品の企画営業を担当。その後、レシピメディアの会社にてメーカー向けの広告、販促商品の開発に携わる。2023年にエブリーに入社。リテールハブ事業部にて、ネットスーパー事業を担当。各小売のネットスーパー事業の黒字化のため、ネットスーパービジネス全般の課題解決、戦略立案を推進している。
大村 幸佑
開発本部 DELISH KITCHEN開発部 Software Engineer RSグループ
2016年に主に受託開発を行う会社に入社し、その後2019年にエブリーに iOS アプリエンジニアとして入社。その後サーバーサイドエンジニアに転向。現在は DELISH KITCHEN 開発部のなかで、小売業分野の開発チームのマネージャーを務める。
森 博昭
DELISH KITCHENカンパニー サービスグロース部 DSサービス企画 RSグループ
グリー株式会社、株式会社リクルートキャリアなどでPMM/PdMとして従事。2017年にエブリー入社。PdMとして、各小売のネットスーパー事業の黒字化のためのプロダクト・機能開発、施策運用に携わる。
『retail HUB』が提供しているサービスの詳細については、下記URLからお気軽にお問い合わせください!
▼サービスページ
https://biz.delishkitchen.tv/retailhub#
▼お問合せURL
https://biz.delishkitchen.tv/retailhub/contact
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